第31話 09時14分

 多分これが、俺の最後の朝食になるだろう。今、ホテルの無料朝食とやらを案内人と食べている。泊まると自動的に付いてくるらしい。


 少し前に部屋で、これからどうするんだと、案内人に聞いたら。まず、ご飯とか言い出した。なので、ホテルの無料朝食が9時30分までしているらしく。その時の時間が、09時14分。案内人の「まだ、間に合いますよ」という声とともに、そこそこ強引に引っ張られながら、俺は会場まで来た。

 案内人は、部屋を出るとともに、昨日チェックインした時の大人の女性?ぽい姿に変わっていた。便利なこった。


 無料朝食って聞くと。あまり種類がないとか、イマイチなのかと思っていたが。ホテルに謝罪しないといけない。

 普通にそれなりの種類あった。ご飯、パンやらも選べて、おかずもそれなりというか。結構な種類が置かれていた。そして、終了間際なのに、ちゃんと、ほとんどの種類が残っていて、俺たちの後に来た。ギリギリ組というのか。そういう人たちをも満足させていた。すごいわ。


「……うまいな。ビジネスホテルの朝食とか、知らなかったが、ちょっと驚いたわ」

「ですね。最近のホテルすごいですね。こんなに、いろいろあるんですね。知りませんでした。」

「っか、朝食。食えたな。俺」

「まだ、大丈夫みたいですね。まあ、いつくるか。わかりませんよ。詰まらせて、死ぬは目立ちますから。お気をつけてください」

「……死ぬきっかけ山ほどあるな」


 ちょっとしたことが怖くなりそうだよ。立ち上がったら躓いて死ぬ――ありそう。


「ありますね。こけて頭打って。または、階段から落ちて、ちなみに、火災とかに巻き込まれるかも。など、言い出したら可能性は、山ほど、あちらこちらに、ありますから。お気をつけてください」


 ほら、めっちゃ可能性あるよ。

「いやいや、無理だろ、それだけあったら防ぐの」

「もしかしたら、私がお皿で攻撃するかもしれませんからね」

「――しないだろ?」


 それ殺人では?


「わかりませんよ?」

「まじか……」


 俺、なんか怒らせた?あ、いや、胸無かった。をまだ引きずっているのか?いや、それはない――いや……どうだろう?可能性は……あるかもしれない。

 っか、引きずってるなら、自由に姿変えれるんだから、自分のなりたい姿になればいいのに、なんで、そのままなのだろうか。案内人の考えていることがわからない俺だった。

 あっ、今は、大人っぽい女性だから、そのままでもいいのでは?と、思ったが――言わなかった。


 朝食後は、特に、荷物も持っていない俺たち。そのままチェックアウトへ。そして外に出る。それからすぐ、見た目が長瀬に戻ってました。ホントこいつ便利なことで。


「じゃ、どこ行きましょうか」

「なんで、そんな楽しそうなんだ?俺、その辺で死ぬかもしれないのに」


 車が突っ込んできたとかもありそうだしな。


「だから、ギリギリまで、楽しみましょうよ」

「案内人が朝から元気だわ」

「じゃ、朝から、腕にでも捕まりながら歩きましょうか?」

「やめろ」

「じゃ、とりあえず――立ち止まってては邪魔ですから移動しましょう」

「……はいよ」


 それから俺たちは行先は決めずに歩きだした。

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