第27話 05時18分

 §

 

 いつもの学校からの帰り道。最近、私には、ちょっとした、楽しみがあった。


 私は、中学では、ずっと図書委員です。じゃんけんで負けて渋々委員会に入った――とかでは、なく。ちゃんと立候補して、やっています。

 そして、2年生になったある日。図書委員の仕事をしていると。ふと、最近私の当番の日には、毎日1人で図書室に、来ている男子生徒に気が付きました。毎日来る生徒は、何人かいるのだけど、なんか、言い方が悪いかもしれないけど、行きたくない。来たくないのに、無理して?図書室に、来ている?みたいな感じで……結構目立っていました。


 はじめは、そんな態度で、図書室に居られても――なんか嫌だなぁ。と、私は思っていました。

 そして、こういう人には、極力関わってはいけないと、思っていたのですが。一応、私は、図書委員なので、何かあったら、注意とかしないといけないので……と、思い。少しはその生徒のことを、気にしていたのですが。

 その人は、騒ぐとかではなく。静かに座っている。

 そして、はじめは嫌々みたいな態度だったのが、少ししてからでしょうか?前は、近寄るな。みたいな感じだったのが。薄くなったというか――何か、自分に合う本でも見つかったのか。普通に、毎日、図書室に、本を読みに来る男子生徒に、私の中ではなりました。


 ちなみに、これは、ストーカーとかではないのですが。

 たまたま、たまたま、本当にたまたま図書委員の担当日以外にも、私は本を借りたり返したりで、図書室に行くので。その時図書室内を見て見ると――その生徒は、もちろんというのか、図書室に来ていました。


 ……少し経った今は、自分に反省しています。人を見た目で、判断した自分に。勝手に、酷いこと思っちゃったなぁ。と。


 なんか暗い話になってしまいましたが。気を取り直して。私の、ちょっとした楽しみ。それは、この生徒と少し関りができたから、生まれたことです。


 それから、少ししてからですが。あの人が、図書室に毎日来ていた理由が偶然わかりました。


 その日、私がいつものように、図書委員の仕事を終えて、職員室に、図書室の鍵を、返しに行くと。図書担当の先生に呼ばれました「なんだろう?」と、私が先生のところに行くと、同時に、近くの椅子に座っていた、隣のクラスの担任の先生が、こちらにやってきました。どうやら呼ばれたのはこの先生が私に用事があったから――みたいですが。私は、この先生とは、全く接点がありません。ちょっと怖い先生という、イメージもあったので、ちょっと、不安。


「図書委員の生徒か?あ、いや、悪いな。図書の先生に聞いたら、おまえが、1番図書委員の中では、真面目で、しっかりしてると、聞いたから、ちょっと聞きたいことがあるんだが、少し大丈夫か?」


 職員室の時計を見て見ると、時間は、17時18分くらい。私は、電車、バス通学とかではないので、少しくらいなら、問題なかったので、「大丈夫です」と返事をしました。


「2年になって、少ししたくらいから。図書室に、毎日通っている生徒はいるか?」

「…………へっ?毎日――ですか?」

「そうだ、毎日通っている男子生徒がいるはずなんだが」


 そのとき、すぐに私の頭の中には、1人該当者が浮かんだ。


「あー。もしかして、あの、名前は、知らないのですが。多分毎日来て、同じ場所で、本読んでいる人は、居ますが……ちょっと、言い方悪いですが。はじめは、無理矢理来ていた?みたいな――あ、でも、最近は、普通に、下校時間まで、ずっと1人で、本読んでいますが……」

「あー、そうだ。多分そいつだ。で、どう過ごしてる?」

「えっ?どうって――――今も言いましたけど、本読んで過ごしてますよ?」

「だよな。わかった。悪かったな、呼び止めて」

「え……あ、はい」


 私は、そこで解放されましたが、あの先生。何が聞きたかったのだろうか。と、思っていると。そのあとに、図書室担当の先生から、先程の話は、あの先生の担当クラスに部活に入りたがらない生徒がいる。あの先生は帰宅部を、絶対に許さないらしく。でも、あの生徒は、文化部?文芸部?が良かったとかで。この学校には、そういう部活が無いからの理由で、1人でああしていると。

 そして、ちゃんと行っているのか、あの先生は、気にしているのだと。ざっくりだが、そんな感じの事を聞いた。ちなみに、私も、部活に入ってはいませんが……。私のクラスの担任の先生は、特に何も言ってません。先生によって、ここまで違うとは……と、ちょっとびっくりしました。

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