第22話 00時23分

 学校から無事抜け出した。と、いうのが正しいのだろうか。まあ、いいか。とりあえず、敷地からは出た。


 特に、誰かに見られたもないだろうが。防犯カメラは……微妙――まあ、多分。大丈夫――か?明日やらに、なったら、警察が来るかもだが。それまでには――死んでおきたい。かも。でも、明後日には、いない予定の俺。もう1人も、多分いない人間だし。大丈夫だろう。侵入以外はしてないし。


 しかし、今起きている問題もあった。時間的に、家に帰る方法が、徒歩だけに、なっていた。電車はすでに終わっている。死ぬんなら迷惑ならないように、家で――がいいのか。とか、考えだしていたのだが。徒歩で帰ると、帰るまでに、死ぬ可能性がある。っか、何時間かかるだろうか……?そもそも。歩いてなんて帰れないだろう。何十キロあるのだろうか。家まで。とか思っていると。案内人が話し出した。


「なら、ホテル行きましょうか」

「はい?」

「お金まだありますよね?」

「あのな、ホテルで、日付変わったら?」

「大丈夫ですよ」

「なにが」

「そういう場合、まあ、私が上手にしておきますから」

「…………」


 こいつ――なんというか。謎。


「さあさあ、行きましょう」


 また、手を握られ、歩き出したが、ホテルって、このあたりはない。すると、何故か、タイミングよく来たタクシーに、手をあげる案内人。

 そして、乗り込み「近くのビジネスホテルにお願いします」って、まあ、タクシーの運転手の方は「はいよ」って感じに、すぐに、案内してくれた。そして、ビジネスホテルに、到着した時。これ、ホテルじゃなくて――家に帰れたんじゃないか?と、俺は、思っていたが。超高額請求されるよりかは、ホテルまでの方が、はるかに近くて料金も安かった。


「私が聞いてきますね。見た目変えて」

「――もうご自由に、って時間的に、無理な気がするが――もう日付変わる前だぞ?」

「まあ、聞いてみましょうよ。せっかく歩いてきたんですから」

「家帰れたな」

「いいんですよ」

「何がいいんだよ、案内人に振り回されてるよ。ホント」


 さすがに、学生?2人では、断られるだろう。とか、思っていたが。こちらには、超便利屋がいた。ちゃっかり、っか。ホテル近くで、さっと見た目が、変わっており。大人の女性?ぽくなった案内人が、フロントで、空き状況聞いたら――。


 ★


「入れましたね」

「……だな。入れたな」


 普通に「大丈夫ですよ」とか、言われ。部屋借りれた俺たち。時間は――0時前と遅い時間だったのだが。なんか、フロントには、24時間受付と、書かれていた。いまどきは、いろいろなホテルあることで。


 どんな部屋がいいかと、聞かれていたが。わからないし。案内人に、おまかせにした。そして、先払いだったので俺が料金を払う。その光景が、変に見られるんじゃないか?思ったが――特になかった様子。

 っか、俺、高校生に、見えないのだろうか?あまり気にしたことはなかったが。まあ、別にいいか。


 部屋に移動中。いつの間にか、また見た目チェンジを、一瞬でしていた。戻っていた。長瀬の姿に。っか、案内人の見た目のことより……。


「ここで、俺が、死んだらやっぱ、ホテルに悪くね?」


 そんなことを言いながら俺はお隣を見たのだが――。


「大丈夫大丈夫。もしもの時は、まかせてください」


 どうも状況の感じ方が俺たち違うらしい。


「頼りに――ならんな」

「ならん?なるでしょ、もう」

「いや、ならんだろ。今までの雰囲気からして」

「なります。死んだら見ててください」

「……俺は、見れなくないか?」


 やらやら、言いつつ部屋に到着したので、中に入る。お部屋の第一印象は。


「――この部屋。広すぎないか?」

「いい感じじゃないですか?広いとゆっくりできますよ?」

「まあ、いいが」


 ツインルームで、まあまあの、広さもあった。2人なら余裕だ。余裕過ぎる。そりゃ、素泊まりだが、いい値段するわ。


「初恋の人と、ホテルに2人ですね。感想は?ニヤニヤー」

「ニヤニヤ言うな。っか、中身が違う。全く違う」

「相変わらず。ひどいなぁー」

「事実だろ」

「一緒でしよ?」

「いやいや、見た目が。だけだろ?」


 すると。その時、部屋に、置かれていたデジタル時間がちょうど0時になった。

つまり俺は、今日死ぬらしい。残り24時間以内には――――死あるのみか。


 この一緒にいる案内人が、ホントの事言っていればなんだが。っか、今更、嘘でしたー。とか言われても、ホントかなり困るんだが。


「なあ。もういつ死んでもおかしくないのか?」

「はい。ちなみに――自殺したら。すぐ死にます」

「――――そうか」


 なるほど、そうなるのか。今日になったから。


「もしかしたら、風呂場で、転んで、死ぬとかもありますよ」

「なんか、それ嫌だな」

「まあ、ぽっくり逝ったら、ホテルには、迷惑にならないように、しておきます。私が言い出したので、まあ、全裸の男の人を、移動やらするのは――ちょっと……ですが」

「――なんか見られたくないから、気をつけます」

「気をつけてくださいよ。乙女ですから」

「…………乙女ね」

「なんで、疑うんですか!」

「いや、事実言ってるとも、限らんしな」

「この人は、ホントに――」


 俺が死ぬ日になった、というのに、そんな言い合いをしていたら。部屋の時計はどんどん進み。次に、時計を見たときには、00時23分になっていた。


 時間が進むの――早くなった?いや……この案内人と話していると――早いのか?いやなんで?まあいいか。

 

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