第20話 22時25分

 美容院に連れて行かれた後。さらに、案内人に引っ張られていた俺。


「いい雰囲気のデートですね」


 とか言われたが……いやいや、俺、なんか知らぬ間に、美容院連れて行かれて、そのあとも、なんか、また、手掴まれて――握られて……か。どこかへ歩いているのだが――まあ、なんか見覚えのあるところに来ている気がするが――。


「ここは……って」


真っ暗の建物の前。誰か人がいるという気配は――ない気がする。とにかく、真っ暗の、建物の前に居て、って、俺の居た中学校だよ!「今日来たよな?ここ」と、案内人の方を見る。何しに来たのか。と、俺が聞きこうとしたら。今まさに、侵入する気満々の方が、横にいました。


「――――不法侵入な」

「大丈夫ですよ。あなた最短数時間で、死にますから」

「ひどい言い方で」

「わたしは、姿消せますから」

「おまえ、最後の最後に、警察とか、嫌だからな。さっきも言ったが。まさか、警察に、捕まるように、してるじゃないだろな」

「まあ、行きましょう」

「……無視かよ」


 何をこいつは思ったのか、少し前に、2人で来た中学校まで。また戻って来た。


 そしたら「夜だし。誰も居ませんよ」とか言い出し、校門横の門から、普通に、中に入っていく。いや、カメラとかるだろ。わからんけど。って、めっちゃ、防犯カメラ作動中って、書いてあるんだが――カメラの場所は、わからない。


 ってか、不法侵入したやつは、俺の手掴んでるから。まあ、俺も連れて行かれる。校庭抜けて、建物へ。人は、いないみたいだ。職員室も電気はついてないみたいだし。すると……。


「あ、ここ開いてますよ。偶然。ラッキー」

「いやいや、完全に、不法侵入な。校庭でも、このご時世アウトな気がするが」

「いいじゃないですか。せっかくですよ?」

「おまえが、楽しんでるだけじゃないか?」

「まあまあ、どこも行きたいところなさそうだし。死ぬ前に、どこか寄れば、何かあるかもしれませんよ?」

「それが、何故中学か」

「いいんです。ハラハラドキドキできますよ?」

「完全に、お巡りさんルートだろこれ」


 この案内人。偶然の鍵の締め忘れか。開いていた1階の教室の窓開ける。いや、こいつならカギ閉まっていても、開けられそうな気がするが――窓の高さ的には、腰の高さだから、簡単に超えられるが。


「スカートって事、忘れてるだろ」


 先ほど着替えたので、俺が指摘する。


「いいえ。でも、仕方ないじゃないですか。あなたが選んだんですから。あ、見ないでくださいよ?」

「見ないし。そもそも入らなくていいだろ」

「開いてますよ?」

「だから、何故入りたがる」

「……懐かしいから?」

「懐かしい――?あっ、おまえ、中学でだからか?じゃなくて」

「まあ、満喫する前に、死にましたから。もう1回中見たいです」

「…………単なる不法侵入」

「ここに、居続ける方が、目立ちませんか?」

「なら、学校から出ようと」

「嫌です」

「なんで、死ぬ側の意見聞かないんだよ」

「あなた、何もないと、言いましたから」

「――――都合よく使うな」


 結局……。


「うわー、なんか、懐かしいなぁ、この机に、椅子。教室の感じも懐かしい」


 案内人さん、キョロキョロ教室見ています。そんなに、懐かしいのか。っか、暗い教室って、初めてだわ。教室の時計は、22時25分を指してる。絶対通学中は、見ない時間。にしても、案内人さん。楽しんでいるというか。テンション高いというのか――。


「……興奮して、物盗むなよ」

「しませんよ。誰だと思ってるんですか。私を」

「不法侵入者――っか、どこ見たいんだよ」

「あー……まあ、いろいろ?」

「無いのに、入りたかったのかよ」

「いいじゃないですか、雰囲気ですよ」

「――ただの肝試しみたいな、気がするんだが」

「怖いですか?」

「死人強そうだな」

「仕方ないですね。腕にしがみついてあげましょう」

「いらん」

「怖いんでしょ?夜の学校」

「……実はおまえ――めっちゃ怖がっているとか?」

「な、なわけないですよ、ほら、行きましょう」


 2人は、ちゃんと靴脱いで、手に持ち、歩いているが。なんか、片腕掴まれたんですが――少し震えてる?この案内人。震えているな。


 にしても、ガチで、真っ暗の学校に不法侵入とか。警察の御用じゃないかな。これ。今のところ――――誰にも見つかってないが。


 そのまま中学の中歩く。各学年の教室があったり、理科室があったり、音楽室があったり。と、見ると、確かに、いい思い出はほとんどないが、何か懐かしい……真っ暗だが。


「――――ここ……図書室か」


 歩いていると、多分、中学の時の俺が、教室の次に、長く居たであろう図書室があった。


「図書室入りますか?」

「鍵閉まってるだろ」

「あ、ほんとだ」


 引き戸に、案内人触っていたが。開かない。まあ、ここに来るまでも、ほとんど部屋の鍵は、閉まっていた。ドアが開いていたのは、トイレくらいだった気がする。

っか。どうやら、案内人が何かの力で、カギを開けるかもしれない。は、無理らしい。じゃ、さっきの窓は、本当に偶然か――。


「図書室は、思い出ありみたいですね」

「なんでだよ」

「唯一立ち止まりましたから」

「……なんだ。その偶然だよ――ただ、長くは居た」

「そう……あっ、じゃなくて……えーっと。あなた、図書委員――でした?」

「なんだ今の間は。まあ、違う、時間潰し」


 なんか案内人さん。慌てて流みたいな感じ。って、あー。なるほどやっぱり怖くて、言うことを忘れたか。と、勝手に理解しておいた。まあ、このくらい廊下だからな。確かに――怖いわ。


「あ、そうだ、屋上行ってみましょうよ」

「屋上?ここって、屋上なんかないぞ」

「ありますよ?」

「あるって、お前知らないだろ」

「あっ――その、いえ。私の直感的に、どの学校も階段の先には屋上へのドアが、お決まりですから」

「そんなお決まり知らないんだが……?」

「まあ、図書室入れなかったので、行ってみましょう」

「……」


 そのまま、図書室を通過。階段まで行き。一番上まで上がって行くことになった。

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