第15話 17時30分
プリクラしかしてなかったはずだが、なかなか振り回された気がする。そして、結構疲れた気がする。
「楽しめました?」
「疲れた」
「普通楽しかったでしょ?初恋の可愛い子とプリクラして、ゆっくり雑談。ほんとは、もっと遊んでくれたら合格だったのに、動かない人がいましたから」
「ノリノリだな、おまえ」
「デート楽しいですね」
「相手の中身がおばあちゃんだけどな」
「違いますよ!?若いですよ!」
「うるせー」
「ぴちぴちですから!わかりました?」
「はいはい」
この言い合い目立ってないか?思ったが、とくに見られてはなかった。とりあえず、そのまま行くあて決めずゲーセンを後にした。すると、となりから質問が来た。
「そういえば、もちろん初恋の人の名前は覚えてますよね?聞いてませんでしたが」
「名前……知らないな」
「はい?」
「……知らない」
「いや、マジですか?話したんですよね?一応」
「話した。が――知らない」
「いや、気になった相手の名前知らないとかあります?話しかけたんでしょ?名前知らなかったら話しかけれなくないですか?」
「知らないんだから、知らない」
「その割に、しっかり見た目は覚えてましたよね?」
「……気になったから、仕方ない」
「なら、名前調べるもんじゃないですか?絶対知ってますよね?」
「……もういいだろ。知らないんだから」
「――ホント……なのかな?言ってなかった――?うーん」
なんか、ぶつぶつ言っていて、何か言いたそうな顔してたが。俺が再度歩き出すと、諦めたのか後ろをついてきた。
俺は、歩きながら昔の事を思い出していた。
まあ――本当に、名前は、知らない。名前はである。苗字は……知っている。
★
これは中学での話に、なるのだが。本人から聞いた訳ではない。長瀬が居なくなった。来なくなったあと。一度、図書の先生に、聞いてみたら、長瀬。と言う苗字と。急な転校。と、言うことだけ聞いた。転校した日はやっとちゃんとした関わりが出来た。と、俺が思った、翌日の事だった。ちゃんと関わって、すぐだったので、連絡先も、クラスすらまだ知らなかったから。無言だったのは、仕方ないか。と、その時思ったのだが。数日後。もっと重要な情報を偶然聞いた。
それは、長瀬が転校したと聞いた、数日後。
確か――17時30分がその時の下校時間だったのだが。下校時間ギリギリまで図書室に居た。下校時間になったから、そろそろ帰るかと、準備をして図書室を出た後。職員室近くの、先生らの休憩部屋とでもいうのか。そういう部屋がある中学で。その部屋の前を通った時だった。
「一応転校ってことに、なりましたけど、いずれバレませんか?」
「……真実を言うより――だろ」
「図書委員?の子でしたっけ、あんなにしっかりやってくれる子。なかなかいなかったんで――残念です――――――自殺なんて……」
それを聞いた俺は、そのあとも、先生たちは、何か話しているみたいだったが。聞くことはなく。足早に、学校を後にしたのだった。
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