第10話 12時35分
「今、授業中ですかね?校庭にも誰も居ませんし」
「まあ、多分そうじゃないか」
パッと見た感じ、静かな感じの小学校。休み時間ではないのはわかる。
「わたし小学校は、給食の時間好きでした」
「俺は、下校の時間が好きだったな」
「それ学校じゃないですよ。給食楽しくありませんでしたか?」
「まあ、嫌いでは、なったか。よく給食当番の野郎に、配ってもらえなくて、自分で取りに行くはあったが」
「……そこでもですか」
「いや、ずっとだ。それが普通」
「――わたしだったら――――壊れそう。いえ、間違いなく壊れますよ」
この案内人このまま俺の過去聞いていたら、泣き出してしまうんではないだろうか。と、思うような表情になって来た。
「さっきから、悲しんでばかりじゃないか?」
「あなたの人生を、聞くと悲しいことしかないので」
「じゃ、おまえの事話してくれよ」
「わたしですか?えっと、給食大好きでした」
「聞いた」
「あとは、休み時間」
「まあ、友達いればな。いろいろあって楽しいだろうな」
「授業は――体育以外なら」
「体育は、嫌いか」
「嫌い。ってより。苦手でしたね。小学校なら――えっと……ドッチボールで、何故か、毎回顔面でボール受けました。あれは……無駄に恥ずかしいし、痛いし。あれだけは、ホント苦手でした」
「笑いを取りに行ったか」
顔で受ける。確実に笑い狙いでは?または――
「いえ、まじめにやってです」
「いいセンスだな。毎回笑いの神様が――か」
「バカにしてますよね?」
「いや、俺立ってるだけで、残ってたからな。ボールも通過しないみたいな。あ、最後の1人になると、狙われるがな。まあ、ドッチボールは、ある意味貴重な選手な。あと、サッカーならボール来ないから、俺がいるチームは、自然と1人少ないというハンデ付き」
「……悲しいですね。って、私が話してもあなたの過去が入ってくると全部悲しくなりません?これ」
「じゃ、俺に黙れと」
「それだと、わたしが暇なので話してください」
「じゃ、嘘で話せと?」
「それは、なんか嫌ですね」
「どーしろと?」
その時小学校のチャイムがなる。
「あ、子供たち出てきましたね」
「授業終わっての、休み時間か?昼?じゃなかったか」
「あー、楽しそう、いいなー。やっぱり、小学生の頃が一番のびのびしてたかなー」
「……混ざってきたらどうだ?」
「私が、不審者で捕まって、身分証明で、大揉めが起こりますよ」
「うわー、関わりたくないわ」
「死人が生きてる。になりますから」
「あ――そういうことか。そりゃ、かなりの大騒ぎになるし。ニュースにもなりそうだな」
「一応、生きていた名前が、こっちにありますから。連行でもされたら、それ言うしかありませんから、偽名も今時は、すぐバレますからね」
「警察も、もし、死人が生きてるとか。そういうのあったらどうするんだろうな」
「まあ、私は、姿変えれますから、取り調べされるまでいかないと思いますけど、最悪消えますから」
「完全犯罪できそうだな」
「しませんよ!……できますが、多分」
そういえば何故来たんだっけか
「なあ、もういいか」
「移動ですか?」
「帰る」
「まだ、中学校見てませんよ?」
「悲しい過去ばかりみるだけだぞ?」
「高校、小学校見たんだから、中学校も行きましょうよ。帰っても暇なんでしよ?」
「……なら……行くか。歩きだが」
「やっぱり、優しいですね。私の言う事なんやかんやで聞いてくれますから」
「……暇だからな」
子供らが遊ぶグラウンドから離れていく。しばらく子供の声ば聞こえた。子供の声って、響くんだよなぁ。
小学校からしばらく歩いて、同じ地区内にある中学校に到着。こちらも、まだ、授業中か。静かだった。いや、時間的に――12時35分。次こそお昼時間だろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます