第3話 05時42分
何が起こっているのか、わからないまま時間は過ぎていく。はっきりとは、わからないが。天気予報のコーナーも終わり、違うニュースが始まっていた。それなりに時間は過ぎている様子。
「……俺の目が、おかしいのか。ストレス?」
1人で、考えている時に、不意に声が聞こえてきた。
「いえ――あなたが急遽……明日には、この世界から居なくなるので、ちょっとした、不具合が起きただけです。まあ、一時的なエラーみたいなものです。これは、そのうち戻ると思います」
「――なるほど…………わからん」
「納得してもらえましたか、物分かりが良く助かります」
「納得は、してないが。まず……誰だお前」
1人しか、この部屋は、居なかったはずだが、いきなり声が、1つ増えた。っか、普通俺が驚く感じになるのならわかるが。いきなり現れた方が、なんというのか。おびえているというのか。何故か、声を詰まらせながら話し出したし。俺がちょっと怖がりたいよ。ホント誰。今、俺の横に居るのは。
「…………案内人とでも」
「っか、どこから入った」
「ふー。まず、落ち着いて聞いてください。わたしはあなた以外には見えませんから、警察を呼んでも無意味であなたの立場が悪くなります」
「……」
「そうです。慌てず。まず話を聞ける……あなたは、なかなか優秀ですね。では、本題です。あなたは、明日死にます。わたしはあなたの……終活のサポートをします」
「――――は?」
「……あれ……?少し前にお告げみたいなことがありませんでしたか?あっちから、あなたに、ちゃんと……伝えたはずなのですが?」
少し考えると俺は先ほどの夢を思い出した。
「――――夢のあれか」
「そうです。夢の中で、伝えられたかと思います。あなたは、偶然、急遽選ばれた形のため。猶予がないので、はるばるサポートに来ました。明日までに、終活をしましょう」
……この今、俺の横にいる――おばちゃんは、一体だれなんだろうか。声は、かなり若い感じなのだが。見た目は、おばちゃん。で、いいのだろうか。声と見た目が合わない。俺の親か、上くらいに、見えるのだが――っか、ホントどこから入ってきたのか。戸締りはしてあったはずだが……音もなかったし。そして、何者なのか。いきなり過ぎてなんの行動も、出来ず、ただ案内人と言った、おばちゃんの話を聞いている今である。
「……あの?聞いてますか?」
「いや、まあ、っか……誰」
「案内人です。名前は……ありません。勝手に、付けていただいて構いません。付けなくても、大丈夫です」
「――おばちゃんは」
俺が言うと、案内人とやら言ったおばあちゃんの顔が変わったというか。さすがに失礼じゃないですかね。とか言いたそうな顔になった。
「おば……おば……ち、ちょっと、酷くないですか?わ、わたし。結構若い方ですよ?見た目、自分で、言うのもですが――さすがに、おばちゃんは、何をふざけた……って――あっ、も、もしかして……もしかして――――ち、ち、ちょっと……待ってください。鏡鏡……」
何か思い出したのか、おばちゃんは、キョロキョロして、鏡を見つけると、慌てて、鏡の前に―― すると。
「――――――あー!設定間違えたー!なんで、おばちゃん設定?あ、前の人が、中年の人だったから、そのままにしちゃった!?あ、違う、前の人終わって、次の仕事見て――あっ。え、えっと……あなた高校生よね?」
「……一応高校生。っか、よくわかったな」
「わ、わかるわよ。じ、事前にある程度わかるから……にしては、元気なくない?落ち着いているというか。って、じゃ、かわいい女の子がいいかな?あ、もしかして……イケメンの男の子がいい。とかも受けれるけど――ちょっと私的なは、複雑……かも……あ、でも、一応聞かないとね」
「……意味がわからないんだが」
「え?だから、見た目が――」
いきなりおばちゃんが、クルッと回ったかと思ったら。若い男性になった。って、モデルか!いや、アニメの世界か!って、くらいのイケメン。目がなんか、キラキラっぽいのが見えた気が。いや、マジで、急に変わった。一瞬で、なんだこれ。マジック?なんだこれ。
「……見た目が……変わった――――?」
「そりゃなんでも、できるさ。でも、やっぱ最後は、かわいい女の子に見てもらいたいだろ?こういうのがいいか?」
声も男性っぽく?なっていた。が。すぐに、また変わり。次は、同じくらいの年?の女性が現れた。
「どうですか?わたし、これくらいが、実年齢に、近いからやりやすいんですよ」
声は――はじめのおばちゃんと同じような……男女で声は変わるだけ?
「……結局なに?不審者」
「だ・か・ら、あなた死ぬの。明日。わかる?で、いきなり死んじゃったら、周りがびっくりするから、明日までに、いろいろ整理するの。終活。にしても……高校生で当たったか――」
「当たった。ってなにが?」
「いや、あなたは……多分――もっともっと、生きるはずだったんだけど、向こうのお偉いさんがゲームで、こっちの人の人生を勝手に、切っちゃって、まあよくあるんだけど。あっ、もう、体験してるけど、突然お偉いさんが切っちゃったから、不具合みたいなことで、あなたは、一時的に、あなたが生きているまでの事しか、見えなくなってるから、注意ね。さっきの天気予報とか。なんなら、テレビの番組表とかみたら、また、真っ白が見えると思うけど、不確定なことだから、必ずみんなに、ある症状ではなくて、寿命が切られて、一時的って、人もいれば、ずっと。または、何も変わりない人って、様々だから、なんともいえないけど、あまり気にしない方がいいよ」
「いや、その確認は、もういいが……その、よくあることなのか?お偉いさんがなんとか。って」
「まあ、ある方かな。若い人が選ばれるは、レアだと思うけど。私は、初めてかな。で、急に人生終わることになった人に、お告げして、急で悪いからせめて、最期まで付き添って、身の回りの整理をする。それがわたし。上が、勝手すぎて困ってるんだよ。休み無しだし。突然だし。まあ、通常はみんな、「信じるか!」とかで、バタバタして、なにもできないで、終わる。がほとんどだけど――10人居て、いや、100人いて、1人くらいかな。死ぬまでに、完璧に、終活終わらせた人は。にしても……あなた、結構普通ってか、動じないね。あわてもしないし。ちゃんと話すし。ちょっとすごいよ?」
「いや、信じてはないが。別にだし」
「まあ、明日は、わかっても、何時何分かはわからないから、早く準備するよ」
「準備?なんの?」
「だから、死ぬの。あなたは、身の回りの片付けするの。わかった?」
「別に、することないけど」
「いやいや、あるでしょ?高校生だっけ?友達にお別れとか。あ、お別れ言っても、明日死にます。なんて、誰も信じないから、手紙の人が多いかな?あ、大量の人に書くとかは、やめてよ。それだけで、終わっちゃった人もいるから。あと、たまに、ストレートに、みんなに言いまくって、騒ぎ起こす人もいるから。だから、私的には、書きたい人絞って、手紙を書いて、それをポストに出す。かな、それだと、明日以降の到着に、多分なるから、ちょうどあなたが死んだら――に、なるはずたがら。まあ、今までの経験上ね。ほかに、あればしてもらっても……」
「ない」
はっきり答えた。
「……ない?」
「そう、友達とかいないから、それは大丈夫」
「大丈夫って」
「いや、いないものはいない」
「1人も?」
「1人も」
「……じゃ――高校生ならお世話になった先生とかに」
「いないな」
「………………じ、じゃ家族」
「必要最低限しか会わないから、いないと同じだな。まあ、気が向いたらなんかしとくか」
「――あなた、どういう人生だったの?」
「なにもないけど、で、死ぬんでしょ?」
「……まあ」
「なら、まずゴミ捨てたらいいか」
「……は?」
「だからゴミ捨て」
「……ゴミ捨て?」
「そう」
俺がそういうと、案内人とやらは、なんか変な顔をしていたが。俺、変なこと言ったかな?とか思いつつ。すっかり目も覚めていたしで、早速動くことにした。
時間も、5時42分と、なんか話をしているうちに、かなり経っていたのでね。
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