―出立―
❀❀
昨晩一日早く行われた
「ヤクソク……」
それが
――パーソナルメモリ領域にカウンターを定義。カウンターに「1」をセット。ローカル時間の毎6時にカウンターを
「カウンターが1,826,951になる頃、
タスクを見直す。掃除、保全、巡回は今後も必要なタスクに割り当てた。家族への食事の提供など不要になった項目をリストから削ると、ずいぶん時間ができた。アネモネは、そうした時間を読書や映画鑑賞に充てることにした。きっと、人間をもっと理解するのに役立つ筈だ。時間はたっぷりある。
それと……
――消耗部品の入手方法の検討、交換方法の検討。
「きっとよ! ヤクソクなんだから!」
呼吸。脈拍。体温。最後に収集した
✿✿
皮肉なことに、大戦の発端となった軌道エレベーターは戦時中も休まずドローンが建設を続けたおかげで完成していた。
所有権を争っていた国々は今や存在せず、維持管理は民間企業が設立した「OEV財団」が暫定的に取り仕切っていた。
軌道エレベーターの基部にあるタプロバニー島は「
そこで低軌道シャトルは、上空二千メートルにある中継ポートへと向かった。そこから、軌道エレベーターにのり、高軌道にある宇宙港へ。そこから、さらに無重量シャトルで五十キロ。
そこに
元は、五十光年以内の距離にある地球型惑星への移民団派遣を目的に建造された宇宙船だった。候補の星は幾つもあり、絞り込めてはいなかった。大戦を生き残った人々は、移住可能かどうかも定かではない星へ行くよりも、この宇宙船をシェルターとして利用する道を選んだ。
設計寿命が約百年しかない宇宙船で「
「待っててねアネモネ。きっと帰ってくるから。それまで待っててね!」
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