ベルラ・ミルキル②


side:ベルラ

 

 ─月──日 晴れ


今日はとても嬉しい事がありました。


なんと、後輩のザント君が私の所属する部隊に入ることになったのです。


後輩君が訓練学校を卒業する際には、第8小隊に配属されたと彼から聞いていたので、非常に残念に思いましたが、どうやら転属する部隊を自由に決められる権利を得た彼は自分の意思でこの部隊に入隊することを決めたそうです。


もしかしなくても、これは私への告白とほぼ同義ではないでしょうか?


嬉しくてたまりません。今すぐにでも後輩君を監禁してあんなことやこんなことをしてしまいたいくらいには嬉しいです。


でも、勢いに任せて後輩君の意思と自由を奪ってしまったら、その時点で私が好きな彼では無くなってしまう気がするので絶対にやりませんが。


今日は後輩君の入隊祝いとしてささやかなお茶会を開きました。


後輩君とゆっくりお話しできる時間は本当に久しぶりでとても楽しかったのですが、浮かれ過ぎて私の醜い嫉妬心を彼に見せてしまう失敗を犯してしまいました。


面倒臭い女だと彼に思われて嫌われてしまうかもしれません。

しかし、後輩君はそんな様子をおくびにも出さずに急変した私を心配してくれたのです。


なんて優しいのでしょう。改めて、後輩君を私のお婿さんにするという決意を固めました。


後輩君と話をしていて、彼はリーゼロット隊長の下で働き、戦闘の指南を受けるのがこの部隊に入隊した主な目的なのだと感じました。


私と同じ部隊に入ることが目的では無かったのはすごく悲しいですが、くよくよする暇はありません。


後輩君と一緒に居られる時間が増えたと言うことは、私の夢を叶えるチャンスが到来したということなのですから。


少し前に勢いで書いてしまいましたが、私の夢は後輩君のお嫁さんになる事です。


具体的に説明すると、彼が25歳になった時に入籍したいなと考えてます。


危険な仕事が多い第7小隊のお給料は非常に高く、私の理想を実現する為の蓄えを貯めるのはとても簡単です。


そして、私が貯蓄したお金を利用して後輩君と一緒に私たち以外誰も存在しない僻地に引っ越した後に、残りの人生を彼と一緒に穏やかに過ごすのが私の理想です。


絶対に子供は作りません。


後輩君の愛は私だけに向けられるべきなのに、子供は彼の愛情を僅かでも奪ってしまう可能性があるからです。


私達二人だけしか存在しない美しく綺麗な世界で自給自足をして暮らし、後輩君が老衰で安らかに眠る様を側で見届けた後に首を切って自殺し彼の後を追うことで、魂が天国に向かっても彼とずーっと一緒に過ごすのです。


私以外の女の子とイチャイチャするなんて死んだ後でも絶対に許しません。


私のあんな過去を知っても変わらずに仲良くしてくれる優しい後輩君なので、きっと私の夢も受け入れてくれると信じてます。


ここまで未来予想図を書き連ねましたが、私が思い描く未来を実現する為にはまず、彼に私のことを好きになってもらう事が必要です。


目立ったライバルは今の所はいません。


同じ部隊のテレシアちゃんは後輩君とライバル?のような距離感で接してますし、リーゼロット隊長はそもそも彼とは初対面です。


しかし、油断は禁物です。用意周到に立ち回り、必ず彼のハートを射止めて見せます。


改めて、自分の思いを日記として纏めることで、ほんの少しでも後輩君に私を見て可愛いって思ってもらうためにも、今よりもっとお洒落やお化粧の勉強を頑張ろうと思いました!


……明日も沢山後輩君とお話しできるといいなぁ。


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