彼女の場所
ピート
いつからだろう……毎日の通学電車で彼女に気付いたのは……。
いつも同じ場所に立って、どこかを見つめている。何を彼女は見てるんだろう?
席が空いていても、彼女はあの場所に立っている。誰かがいる時は、つまらなさそうにその場所が空くのを隣で待っている。
僕は、いつしか彼女の姿を探すようになっていた。名も知らぬ、年下の彼女に……。どこの高校なんだろう?中学生じゃないよな……。
僕は、彼女の見ているモノが気になって、あの場所に立つ事にした。隣に彼女がくれば、何か話すキッカケになるかもしれない。
彼女が乗る駅だ、来た……よし、隣に……アレ?彼女は僕の前を通りすぎると、普段なら、僕が座っている席に腰掛けた。
残念だな……何か話せると思ってたのに……。
そういや、いつも何見てるんだろ?
いつも彼女が見ている方向を見つめてみる。風景が流れていくだけで、これといったモノは見当たらない……毎日、そうまでして何を見てるんだ?…………あれ!?角度にもよるけど、反射して彼女の姿が見えたぞ。何かを見つめてるみたいだ……。振り向いて彼女を見てみる。
あ、あれ?今、目が合ったよな?もしかして……勘違いかな?でも……。
彼女が降りる駅だ。何事もなかったように、彼女はホームへと降りていった。
当たって砕けろだ……僕は勇気を出すと彼女を追い掛けた。
「あの、すいません……」
あの場所に彼女が立つ事はなくなった。
以前と同じように、彼女が車両に乗り込む。
そして……。
「おはよう」彼女は僕の隣に。
Fin
彼女の場所 ピート @peat_wizard
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます