第2話 連絡
無事、高校に入れてからは、父と一緒に暮らすことになった。
お母さんも回復して、常態を取り戻していたから、もう大丈夫だろうと思った。
お母さんはなんだか寂しそうな目で見ていたが、たまには人に頼らないで、自分でやった方がいいと私は思ってその場を去った。
父の家はマンションで、12階に住んでいた。
エレベータに乗っている時間がとても長く感じた。
そして部屋から見る眺めは最高だった。
父と食事をするのは最初だけだった。
楽しく話をしていたが、ふとお母さんの事が気になった。
そんな思いが湧き上がる度に、首を大きく降ってかき消していた。
お父さんは仕事が忙しいのか、夜も帰ってこない事もあった。
そうして父の家の暮らしにも慣れてきた頃、病院から電話が入った。
母が倒れて運ばれたという電話だった。
私は急いでお父さんに電話したがつながらず、伝言だけ残して、病院へ向かった。
ベットには酸素マスクをつながれ、眠ったままの母の姿があった。
どれだけ呼びかけても、ゆすっても、起きる気配がなかった。
私は、看護師さんに言われ、家に帰る事にした。
また意識が戻ったら連絡すると言うので、待つことにした。
看護師さんから連絡をもらって、私とお父さんは、待ち合わせをして、お母さんの元へ向かった。
丁度学校が終わる時間に、父があわせてくれたので、そのまま向かうことにした。
病院へ行くと、けろっと笑顔を見せる母がいた。
お母さんは笑顔で迎えてくれた。
無事で良かった。
それから、私は学校が終わると、寄れる日は、母の元へできるだけ通った。
早く良くなって欲しいのと、あんなに嬉しそうな顔をしてくれたから。
こんな事でいいのなら、お母さんを喜ばせてあげたいと思う自分がいた。
お母さんの退院は長引いていた。
その内、父も来るようになり、休みの日は父とも一緒に病院へお見舞いに行くようになっていた。
二人も仲直りしたらしく、退院したら、また一緒に暮らそうなんて感じで。
私はそれが本当に嬉しかった。
早くお母さんが退院して、また、家族一緒に暮らせるのならこんなに待ち遠しい事は無いと心を弾ませた。
それからと言いうもの、母はすごく元気になっていた。
まるで、いつも良い事があったかのようにハイテンション。
最初は体に障るから、止めてほしいと思うほどだったが、これが本当の私なの、と言いはる母が、とても嬉しそうで、私もなんだか元気をもらっていた。
何でこの人、入院しているの? と言うまでに元気で明るいので、私はひとまず安心した。
母は、もう私は大丈夫だから、ちゃんと学生らしく、病院に来ないでお友達と遊びなさいと印を押してきた。
それからは友達と遊ぶことが多くなり、母の見舞いに行く事もなくなった。
お父さんは、あれから毎日足繁く通ってるみたいだけど。
今まで色々あったけど、お互いが愛し合ってくれていて本当に良かったと思った。
それにあれだけ元気なら、私も、もう行く必要すらない。
行ったって元気なんだから、後は退院の連絡を待つだけ。
三人で暮らせる日が、待ち遠しかった。
そして、待ちに待った病院からの連絡がやって来た。
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