第12話 初めてのカクテル
お店は外から中がよく見えた。ピンクと青のライトがお店のいたるところで光っている。happy、welcome、blue moon、いろいろな文字がライトで装飾されている。
マリアは店に入る前から店の前にいる女の子達に声をかけられていた。
「ハーイ、マリア、元気?今度お店行くね」
「マリア、前の髪型すごい素敵だった。みんなに褒められた。ありがとう」
手を振って挨拶したり、目配せしたりする子たちもいた。
「マリア、みんなとお友達なの?お友達たくさんいるね」
「みんな私のお店に来てくれてるの。うふふ。みんなかわいいでしょう?私、みんなのことを可愛くしてあげるの」
マリアは幸せそうにニコニコしている。
(人を幸せにすることが自分の幸せみたい)
サラはマリアのニコニコをちょっと羨ましいと思った。
2人は店に入った。
マリアがドアを開けて、先に入った。
サラはドアが開いて、音楽とたくさんの笑い声と甘い匂いに圧倒されて足が止まった。
マリアが「どうぞ」と、手招きして、サラも中に入った。
「今日のサラも可愛いよ。最高。私たち、とっても目立ってる。みんなが見るもの。サラは、他の人にはない、清らかさがある。真似できないし、なりたくてもなれない。たぶん、心が透き通っているから体も透き通るようにきれいに見えるんだと思うよ」
マリアは早口でサラの耳元で囁いた。
サラは、初めてのお店の雰囲気で、ドギマギしていて良く聞き取れてなかった。
2人は店の奥に進み。テーブルの席に座った。
「さてと、何を飲もうかな?サラの初めてのお酒は、きれいでおいしいカクテルがいいよね。このメニューを見て。全部写真でしょう。どれもかわいいよね。そんなに強くないと思うよ」
メニューに載っているカクテルは色とりどりでキラキラしていた。
「うん、本当、きれい」
「私はオレンジが今日のラッキーカラーだからカシスオレンジにしよう。サラは?」
「私、あの、ドラマで時々見る、オリーブが入っていて、三角のグラスの、えーと、これ」
「ドライマティーニね、OK」
2人は乾杯した。
「2人の出会いに!乾杯!」
「どう?」
「からいです。ピリピリします」
「そうよね。甘いのもあるよ」
「はい」
その時、マリアに女の人が声をかけた。
「来てたの?」
「ハイ、杏奈、今来たばかり、紹介するよ、こちらサラ、おばあちゃんのアパートに越して来たの」
「はじめまして、サラ」
杏奈は黒い髪が腰まであって目がとても大きかった。
「サラ、こちら杏奈、アパートの地域で生活の苦しい家の子どもたちの世話をしているの」
「サラです、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「杏奈、今度のイベントね」
「そうそう、一緒にしてくれそうな子がいるから紹介する、サラ、ちょっとだけマリアを借りるね」
「サラ、すぐ戻るから待ってて」
「わかった、大丈夫、行ってきて」
サラはドライマティーニを飲んでしまってメニューを見ていた。
「おかわりお持ちしましょうか?」
お店のウエイトレスから声をかけられた。
「はい、あの、このアラスカをお願いします」
サラは薄いレモン色であまり甘くなさそうなアラスカを頼んだ。
アラスカはすぐに来たが、マリアはまだ帰ってこない。
アラスカは爽やかな辛さが口の中に広がった。
「美味しいよね」
サラはまたすぐに飲んでしまった。
「サラ、ごめん、待たせちゃった。サラ!どうしたの?サラ!」
サラは意識を失っていた。
「もしかしてアルコールダメなんじゃ、大変だ」
マリアは急いでルイに電話した。
「ルイ、大変、サラが意識無くした。どうしよう私、杏奈とイベントの話するのに10分くらいサラを独りにしちゃった」
「マリア、今近くだからすぐ行ける。大丈夫だよ、待ってて」
ルイは5分ほどで店の前に車を停め、店に飛び込んだ。
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