第5話実はね&聞いて①

 その日の放課後、学校には当事者って言ったら違うかもしれないけど、三人が集まった。私から話したいことがあると誘ったら二人ともあっさり了承してくれた。

 実を言うと、個々で誘ったからその時にそれぞれと話す時間があったのだが……





 彼に話しかけにいく時、周りが彼を冷やかしていた。


「お〜いって! あの子とはどうなったんや? 前、掃除の時二人にしてやったやんけ!!」


彼が赤くなる。


「お、お前分かっててサボったのかよ!……どうって言われてもなぁ、話してて思ったけど、あんな真っ直ぐな子俺なんかが好きになっていいのかな、そもそも」


やっぱり彼を見入ってしまう。でも、嗚呼、彼はすごく真剣に彼女のことを悩んでいる……




 彼女の場合はこうだった――


「『ちょっと今日の放課後話したいことあるんだけどいい?』」

「うん! そしたら、私も今言いたいこと言っちゃっていい?」

「『なに?』」

「前、彼のこと話したと思うけど……私は何があっても彼のこと諦めないから!!」


そう言って彼女は席に戻っていった――


 あの時の彼女の真剣な表情に何か見透かされたように感じた。同時にその言葉の裏に、お前さぁ〜私があれのこと好きって分かってて近ずいてんじゃねぇぞ、おら。みたいな性格のよろしい人のような雰囲気は一切感じられなかった。恋の女神として多くを見てきたからこそ分かる……



 そう二人とも真剣にお互いを考え、たとえライバルがいても真っ向勝負でやっている。



だから、やっぱり私もちゃんと言おう。














「『二人ともしっかり聞いて欲しいの』」

「「……うん……」」


 改まった私の態度に二人とも真剣に耳を傾けてくれる。


「『フゥーー! 実はね、私は私じゃないっ! 彼、あなたが言ったように記憶がとかじゃない。信じてもらえるか分からないけど、私は天界から来た女神なのっ!』」


 通じるだろうか。通じてくれないのだろうか。二人は少しの間考える仕草を見せたが……









         ◇◇










 女神?なんだかどこかで聞いた話な気が……そう! そうだ! ママから聞いたあの話だ。女神様が人間の女の子の身体を乗っ取っちゃうやつ! ……だから、私は


「「信じるよ」」


 彼も信じると、そういった。


「そもそも変わりようがすごいからなぁ」


 続けて彼が笑いながらそういう。


「『あ、ありがとう……』」


 確かに最初に目を覚ましたと彼女に会った時から少し変わっていた。暖かいオレンジ色の髪の毛は、まるで汚れを一切寄せ付けないかのような純白になっていたし、瞳も同じだ。お医者さんの色素がどうとかの話は違ったということ……

 どういう理由で降りてきたのだろう?


 話しているうちに時は夕暮れ。教室に夕日が差し込んでくる。教室に徐々にオレンジが満たされて行く。同時に彼女の髪もオレンジに染まっていき、いつしかその顔は焦燥に満ちていた……




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