(二)-21

 ベッドに横になりながら仕事をしている時の覇気もなく、一つ一つ思い出すように語ってくれた。僕の全然知らない未来子さんがそこにいた。

 そして「こんな私なんかで良ければ、あなたのプロポーズ、受けさせてくれないかしら」とうつむきながら言った。

 僕は「もちろんです! お願いします!」と彼女の手を握った。


 翌日月曜日、会社から何度もかかってくる電話がうざかったので、携帯の電源を落とした。というのも、僕は会社を無断でサボったからだ。市役所に行き、婚姻届をもらってきて、自分の欄に署名捺印をした。そしてそれを持って未来子さんの病室に来た。


 ベッドテーブルの上にそれを置いて、ペンを差し出した。「ここに名前を書いて下さい!」と。

 彼女はゆっくりと上体を起こして、ペンをとった。その内容を一通り確認すると、彼女は欄に署名した。

 そして僕は「すぐに提出してきます!」といって病室を飛び出した。

 市役所に戻ってきた僕は、「僕たち、結婚します!」とその書類を窓口に提出した。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る