(二)-14

 翌週の土曜日。再び彼女の病室へ来た。ベッドに横たわった未来子さんは腕に点滴をしていた。先週はベッドから起き上がってくれたけど、今日は寝たままだった。

「今さらだけど、あんたのプロポーズ受けていい?」

 思いがけない一言だった。そうだよな手術の後だもんな。きっと心細かったんだろう。それなのに、僕は自分勝手に「元気になれ」だの「すぐに良くなる」だのと、他人事のように言っていた。でも、彼女は辛かったのだろう。そりゃ体を切られたんだ。痛かったに違いない。だから、未来子さんは今はすっかり弱ってしまっているんだ。そう思った。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る