(二)-11

 次の土曜日、再び彼女の病室へ行った。彼女はなんとなく痩せたような気がした。

 「その具合はどうですか」「まあ、ぼちぼちね」というテンプレ文の挨拶を交わすと、未来子さんは「あんたのプロポーズって、まだ有効?」と言ってくれた。

 僕は嬉しくなって「ええ、もちろんです!」と大きな声で答えた。他の入院患者さんが一斉にこっちを見た。少し恥ずかしくなった。

 「病室なんだから静かにしなさい」と僕を諭した後、未来子さんは「実はね、私、週明けに手術することになったの。そんな私でもあなたは結婚したいと言ってくれるの?」と言った。


(続く)

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