4話

「久しぶり〜」

駅の改札口でキョロキョロと周りを見渡している相手に、手を振りながら声をかける。


気づいた高井は嬉しそうに笑い、走りよってきた。


「久しぶり。3日間、よろしく。」

少し落ち着いた声色、人よりゆっくりめな話し方高校時代に良く聞いていた高井の声だ。


「おー、よろしく。とりあえず家行こうか。」

「わかった。…そう言えば、最近手に入ったホラゲがね…」


高井が何年も話していなかった分を埋めるように語り出した。

高井は、いつも話し出すと止まらないタイプだ。

普段より話すスピードを早めてホラーゲームについて語り出す。


そうなんだー。

へー。

そんな返事を繰り返す。

高井は全く気にせず語るだけ語るので、もはや生返事でも大丈夫だ。



高校時代に戻ったかのような気になる。

東が帰ってくるまで、ホラゲとジャガイモに対する会話が止まらない。


ジャガイモ食べ過ぎでソラニン中毒になりかけた話は忘れることができない。

すぐに東にメールしたが、彼女も笑っていることだろう。



そうだ、と言う高井の声に生返事を繰り返していた意識が戻ってくる。


「明日、江ノ島行くじゃん?あの近辺の神様とか調べてたんだよね。」

高井は怪奇現象が好きだ。

ホラーも好きだ。


色々調べてきていると思ったが、やはり抜かりはない。


「あそこには弁財天様とか祀られているけど、他にも三姉妹の神様も祀られているんだ。だから、可能性としてはそういった類の神隠しもありえるのかなって思った!」


事件の概要はニュースでしか知らない。

正直、警察に知り合いがいるわけではない。

どうするつもりなのか、とりあえず明日また考えよう。


きっと、明日も暑くなるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

売れたい小説家、小泉夏穂の怪奇談 小林ぬこ @kuma1923

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ