第2話「バブリーな身体とは……」
名前をつけよう。
この物語の作者としては、カロアン・リミテッドという名前にした。
他意は無い。
物語の中では、丸森祐一(まるもり・ゆういち)と名乗っておこう。
再掲になるが、44歳、男、身長173cm、体重93.4kg、体脂肪率30.4%の丸森祐一だ。
さて詳細な設定だ。
(これは半分フィクションも入っている)
職業は会社員でシステムエンジニアをしている。
家族は妻と子どもが二人、女の子だ。
格好いいパパになりたいと思っている。
娘にモテるパパになりたいと思っている。
ついでに妻にも僕のことを惚れ直して欲しい。
(と付け加えておこう)
仕事は忙しく、出張も多いので、ダイエットやボディメイクには制約が多い。
そして、性格は飽きっぽいのだ。
今のところ、マッチョになれる自信はない。
それよりも、こうやって文字を打っている時の誤字が多すぎて、半分以上をバックスペースに費やしている自分が少し嫌になっている。
バブリーな身体、即ち、マッチョな身体になるためには、筋トレが必要だが、僕の身体の場合は、まずは筋肉をなるべく落とさずに脂肪を落とすことが先決だろう。
まだまだバブリーにはほど遠いのだ。
…………。
…………。
…………。
バブリーな身体とは、どんな身体なのだろうか。
具体的なイメージがなければ、目指すことはできない。
そもそも僕はバブルを経験していない。
「バブリー」という言葉だけが鮮やかに残ったあの時代、残りカスのような雰囲気に触れただけだ。
何となく黒い肌で、ムキムキで歯が白く、笑顔が怖い。
それが僕のマッチョのイメージだ。
そう、取引先の亀山部長がバブル・マッチョである。
「おう!丸森ぃ……、お前、この間電話出なかったじゃねぇかぁ」
亀山部長は学生時代はラガーマンで、商社からの出向組だ。
ベロベロまで飲んだ次の日も、這ってでも会社に来いというのが信条である。
あと、誰彼構わず、タメ語である。
六本木や麻布が大好きで、酒を飲み始めると、あちこちに電話をかけまくる。
深夜に呼び出されることだってある。
僕はなるべく電話に出ないようにしている。
僕がダイエットを始めて、筋トレもやっているなんて知られたら、かなり面倒くさい。
一緒にジムにでも連れて行かれそうだ。
しかし、かなり不摂生な生活をしていると思われる亀山部長だが、身体のラインは引き締まっており、中年らしいお腹の出っ張りもない。
影で相当な努力をしているのだろうか……。
まあ、実態はわからないが、バブリーなマッチョなことは確かなので、亀山部長をロールモデルとして捉えてみよう。
性格上、僕にはあのような振る舞いはまず無理だが……。
色が黒い。
腕が太い。
首も太い。
声がでかい。
態度もでかい。
六本木が好き。
麻布も好き。
あれ?
これが僕の目指す姿だっけ?
バブリー・マッチョが僕の周りにはあまりいないので、目指すべき方向性は定まらないが、とにかく、派手に身体を鍛える必要がある、ということだけは分かる。
しかし、その前にやはり、この大脂肪群を何とかしなければならない。
減量だ。
減量だ。
減量だ。
最近流行りの糖質制限ではなく、僕はやはり王道のカロリー制限でいく。
きちんとカロリーをコントロールすることを徹底すればいい。
体脂肪30%越えでチートデーなどどのたまえない。
早速明日からカロリー制限するぞ!
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