太っちょおじさんはモテたいがためにマッチョになる。

カロアン・リミテッド

第1話「太っちょおじさんの生きる道」

 僕は中年だ。


 いつの間にか、歳をとった。

 いつまでも若いつもりじゃいられなくなった。


 身体の変化は著しく、衰えを感じることも少なくない。


 金の切れ目は縁の切れ目と言うが、おしっこの切れ味が悪くなることは、中年の始まりなのである。


 いきなりの下ネタで申し訳ない。

 しかし、尿漏れは中年男性共通の悩みであることは、ご理解頂きたい。


 …………。


 さて、本題に入ろう。


 「中年男性の生きる目標」とは何か?


 会社で出世することが目標か。

 安全安心に毎日を過ごすことが目標か。

 宝くじに当たることは、夢のまた夢か。


 四十代中盤、「何を目標に生きるか?」が結構重要だ。


 お金は稼がなくちゃいけない。

 しかし、今から大金を稼げる訳じゃない。

 そう、お金に関しては多くを望めないのだ。


 YouTuberになりたいか?


 サラリーマンにとって、顔を晒らすことはリスクでしかない。

 それで稼げる保証もないのだ。


 覆面でも被ってやるか?

 いや、底辺YouTuberになるのがオチだ。


 いやいや、そんなんじゃない。


 男として、もう一度輝くことが大事なのだ。

 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 つまり、モテたいのだ。


 …………。


 言い訳しよう。


 不倫したい訳ではない。

 コンプライアンスは最重要だからだ。


 ○ッ○○したい訳ではない。

 だって、もう中々○○しないのだよ。

 かと言って薬を飲んでまで、という感じでもない。


 じゃあ何だ?


 男として、輝くためにモテたいのだ。

 自分に自信を持つために、モテたいのだ。


 今までの人生……、


 仕事を言い訳に不摂生をしてきた。

 仕事を言い訳に飲んだくれてきた。

 仕事を言い訳に、だらしのない身体になってしまった。


 もう、仕事を言い訳にしたくない。


 できれば健康も手に入れたい。

 いや、健康こそ大事だ。


 でも、ジョギングしたり、サイクリングしたり、そういうのは、性格的に向かないんだよな。


 それに、もっと派手に生きたいのだ。

 バブルなんて経験していないけど、バブリーがいいのだ。


 という思考プロセスを経て、

 2020年9月、穏やかな秋の日に、僕はバブリーな身体を目指すことにした。

 バブリーな身体とは、つまりマッチョな身体だ。


 どうすればいいかなんて、分からない。


 このブヨブヨの身体とララバイしたいのだ。

 (ララバイは子守唄の事だが、バブリーなので、バイバイをララバイと言うのだ)


 これは、僕がこれから体験することをストーリーにした、一つの物語だ。

 半分フィクション、半分本当のことを書く。


 物語が面白くなるか、ならないかは、僕次第だ。


 44歳、男、身長173cm、体重93.4kg、体脂肪率30.4%の僕次第なのだ。


 僕、頑張る……。


 …………。

 …………。

 …………。



 さあ物語を開幕しよう。

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