わたし、学校に通いますっ!
2学期が始まった。
かぐや姫はクラスは違うけど、俺と同じ学年の扱いになった。
"月岡さんの
ということにしてある。
さすがに名前がかぐや姫だと怪しまれるので、表向きは「
名前の字は
学校始まる前にかぐや姫は試験を受けた。どれくらいの実力か知りたいらしいので。
――5教科の点数が9割いっていた。
俺でもせいぜい平均60~70ぐらいなのに。
頭のできが違うのかもしれない。
かぐや姫が学校に来て3週間たった。
昼休みは俺と幼なじみの
「かぐちゃん超可愛いねー」
「ありがとう。すももちゃん。この髪飾り好き」
すももから紺色のリボンのゴムで、ヘアアレンジしてもらってかぐや姫はご満悦だ。
「この2人のやりとりずっとみてたいな。マジ尊い。なっ、てるちゃん」
神に拝むようなノリで手を合わせる将史。
将史のように表に出さないけど――めちゃんこ可愛い! ずーっと見てたい!
「かぐちゃん、学校に慣れた?」
「それなりにね。先週にクラスのHR使って歓迎会開いてくれたおかげで、クラス全員名前覚えちゃった」
”かぐちゃん"の愛称でみんなから呼ばれてるみたいだ。
俺の家族もそうだけど、"かぐちゃん"の方が呼びやすいもんな。俺も皆の前ではかぐちゃんと呼んでる。
「2組って
「そうだよ……」
皆沢の名前がでた瞬間、重いため息が出る。
「皆沢は自分をクラスで人気もんのリーダー格だと思ってて、そのポジションをかぐちゃんに取られるかもしれないと思ってるんだろな。あいつと同じクラスになった年はマジ辛い」
皆沢は基本的に人の話を聞かない。
『
拒否権はない。
拒否しようものなら
先生方に相談しても「理事長のお嬢さんですから……」と逃げられる。
中学時代修学旅行のグループ決めでいつも通り皆沢とその取り巻き主導でやっていて、俺は問答無用で皆沢のグループに入れられた。
男女各4人ずつでそれをくっつけて8人グループだ。
他はあんまり絡んだことない同士のグループで適当に決められていた。
――その瞬間修学旅行が俺にとって地獄になるのが確定した。
唯一の救いは俺のグループの男子のメンバーがいつも仲良くしてる人同士だったこと。
仲良くしてるメンバーでグループ行動して過ごそうと思ったら甘かった。
修学旅行の間何かと皆沢が横にいるし、移動中のバスはずっと皆沢の隣だった。
俺が逃げられないように窓側に座らされ、皆沢の話に付き合わされた。
疲労感でウザイことこの上ないので、窓に寄りかかって寝てた。それしかなかった。
後で同じグループの男子から「皆沢がてるちゃんの肩に寄せて寝てた。で、岡田と藤宮がその姿写真撮って騒いでた」と聞かされ背筋が凍った。
なんでここまで俺に執着するんだろうかね。
そういえば小学校のときに「私は月岡くんと結婚する!」と家に押しかけてきた時はビビった。
俺は皆沢が自分の親の権力をかさにしてやりたい放題するスタイルが嫌いだ。
かぐや姫が皆沢から嫌がらせをされるのではないか心配である。
「あらぁ、月岡くんここにいたのねぇー」
間延びするような声が聞こえる。
俺の天敵が来た。岡田と藤宮連れて。
「何の用だ」
「私はかぐや姫さんと仲良くしたいと思ってね」
かぐや姫は皆沢を見た瞬間に俺にの肩にしがみついていた。
「雛乃様からの申し出だよ、有難く思わなきゃ」「月光学園理事長のお嬢様なんだからね。みんなひれ伏してよ」
岡田と藤宮が皆沢に頭下げるように言う。ありがたくも何も一体何様だよ。
俺たちは取り巻きの二人の話を無視をする。
「
「あら、本当だ。雛乃様可哀想に……」
岡田と藤宮がわざとらしくさめざめと泣き出す。
「なんであの女が月岡くんの肩にしがみついてるの! しかも月岡くん嫌がってないし!! 皆沢家後継者としてでも、月岡くんが必要なの!」
「お可哀想に……」と必死になだめる岡田。
「ちょっと! 雛乃様泣かせるなんて許さないわ! さっ、雛乃様、一旦教室に戻りましょ」
藤宮に慰められ、皆沢は小さくうんと頷く。
3人は俺の教室をあとにした。
「なんだったんだろ、あいつら……」
将史が呆れたように呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます