わたし、かぐや姫ともうしますっ!
「竹が光ってる……? あ、ほんとだ」
俺はじーちゃんの後ろについて二人で光っている竹の方へ向かう。
よく幻想的な雰囲気を出すために竹林の周りをライトアップしている場所がある。
しかし月岡家はライトアップするような照明を置いたり工事する予定がない。
集客してもマナーの悪い客に竹林を荒らされるだけである。
しかもここは私有地だ。
「とりあえず写真撮るか」
何かあったらと考えじーちゃんはポケットからスマホを取り出し光っている竹を撮影した。
「これ、切った方がいいんかな?」
「うーん、そうだな。光崇、
俺は持参した竹切り型の鎌で丁寧に切っていく。
ギコギコと竹を切る音が俺の耳に響く。
隣でじーちゃんが静かに見守る。
もう腰痛いなーと思った瞬間、切られた竹が勢いよく倒れた。
――竹の中が本当に光っていた。
なにかテレビの演出?
うちのとこにテレビのロケで使う予定なんかない。
新手のドッキリ?
竹の中の光が消えた。
「おい、光崇! 中になにかあるぞ!」
二人で覗き込むと座り姿の日本人形のようなものが一体あった。
じーちゃんが竹の中から取り出す。じーちゃんのゴツゴツの大きな手に丁度乗るぐらいだ。
赤のちりめんの着物で柄は桜の花が散りばめられている。
髪はパッツン前髪で背中まで届いている。
昨日見た歴史モノのドラマに出てきた
「なんか、こわいよな・・・・・・。もしかして
と縁起でもないことを言うじーちゃん。
確かにここは
というかどうやってこんな竹の中に人が入れるんだよ!
しかもわざわざ日本人形のような姿にしてさ。
だいたいそうだったら既に竹に切り口があるはず。
――でも切った跡がない。
「警察に届けよう。うん。なんか怖いし」
じーちゃんが警察に届けることを提案した。
「待って、警察になんて説明すりゃいいんだよ」
「適当に、竹林の手入れしている最中に人形を見つけたっていっときゃいいんだよ。だって、竹の中に入ってましたなんて言っても警察が信じるか?」
「……信じないな。怪しまれるな」
それもそうだと思う。
警察から「竹の中に人形があっただって? おたくらちょっと何いってるかわからない」と返されるのが関の山である。
「とにかく近所の警察に届けよう」
じーちゃんと一緒に近所の警察署に行って落し物の手続きを行った。
数年したら持ち主は俺とじーちゃんが所有権うつるらしい。
警察の人に人形を見せると「うわぁ、こ、怖いっす!」と後ずさっていた。
日本人形の
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