#2 PM10:45 カエデ公園
どうしてこんなことになってしまったのだろう。わたしはここで散歩をしていただけなのに。
深く絶望した心で、頭上を見上げる。下品な笑みを浮かべた彼らが、丸を描くようにわたしを囲んでいる。
彼らは、ひそひそと話している。わたしが、やめて、ここから出してと訴えても、全く聞こうとしない。
なんとか突っ切って、逃げようとしても、邪魔されてできなかった。何が可笑しいんだろう。彼らはどっと笑い声を立てた。
周りを見る。わたしと彼ら以外には、誰もいなかった。がらんとした空間の中で、私の切実な声だけが夜空に吸い込まれていく。
わたしの目の前に立つ一人が、突然、片足を大きく後ろに引いた。わたしのことを蹴り飛ばそうとしている。もう駄目だと思い、わたしは目を閉じた。
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