第8話
目を開けると、目の前にはきつね色の何かがあったから一瞬マジでビビった。咄嗟に身を引かせ、「うおっ」と声を上げたが、体は後ろへ下がらず、胸元で誰かから掴まれている感覚があった。
恐る恐る下を向くと、そこには、狐白が気持ちよさそうに寝ている姿がーーーーーー
「………あぁ」
そうだったそうだった………そういえば引っ越して、狐白と同棲するようになったんだよな、うん。そんで、昨日は普通に眠かったから、交代交代でお風呂入って、そのままベッドに直行。ベッドが一つしかないため、普通に抱き合ったまま寝たと………。
なるほど………とりあえず二度寝するか。
俺は、狐白をもう一度しっかりと抱きしめ直して二回目の眠りについた。
バイバイ、現実世界。こんにちは、夢の世界………。
………zzzz
「ーーーん、ーーーくん、透くん。起きてください、透くん」
「んっ……んん」
なにやら俺の名前を呼ぶ声が聞こえるのと、なにやら胸辺りで衝撃を感じたので、意識が徐々に覚醒していく。
何事?と思い、ゆっくりと目を覚ますと、目の前には狐白の顔があった。
「……あ、目が覚めましたね。おはようございます、透くん」
「ん……狐白ぅ?」
若干寝ぼけている俺の声が少し間延びしている。狐白の名前を呼んだら、彼女の顔が笑顔になる。
「はい、狐白ですよ透くん」
「んっ………」
とりあえず、狐白を抱きしめていた両手を離し、上半身を起こした後に、もう一度欠伸をする。
「ふぁ……おはよう、狐白」
「はい、きちんと目が覚めましたね」
「バッチリ。綺麗な狐白の顔もくっきり見えるよ」
と、言って頭を撫でると、嬉しそうに耳がピコピコと動き、しっぽがファサファサと揺らめく。
「……そ、そんな…透くん、朝から可愛いなんて……そんな……」
両の手を頬に当て、嬉しそうに頬を赤くする狐白。可愛い、押し倒したい。
でも、俺はそんなに欲望を一旦、まだまだ心の奥へしまい込み、ベッドから降りた。
「とりあえずーーーー朝ごはんを買いに行こうか」
「……あ、そうだね」
はい。お察しの通り、昨日の夜は出前だったから、朝ごはんを作る材料なんて、買ってもいないし、なんなら、まだ調理器具もダンボールの中である。
俺はリビングで、狐白は寝室で着替え、終わったら洗面所へいき、顔を洗って、歯を磨いてうがいをした。
………そういえばだが、狐白って服はどうしているのだろうか。彼女はこの家に来た時に荷物なんて何も持っていなかったし、服なんて何も持ってきてはいなかったくね?
……あれ?もしかして今狐白って絶賛ピンチーーーって待て待て。そういえば、昨日再会した当初は普通の服だったが、気づいたらなんか巫女服みたいなやつになってたよな……巫女狐……良かったなぁ。
「透くーん?」
とかなんとか考えていたら、寝室からピョコッ、と顔だけ狐白が覗かせる。あぁ……あのペターンとしてる耳が……顔に合わせて動く耳がとてもよいっ!!!
「どしたー?」
「……あの……そのね?私……一応、その……お洒落してみたんだけど……」
と、言いながらモジモジとしながら扉から姿を表す狐白。
「………おぉ」
俺は、その姿を見て思わず感嘆した。
まず、上の服は、今の季節にちょうどいい、白の生地に花柄の意匠がついているちょっと薄めの長袖。スカートは露骨に激しくなく、ロングスカートだが、上下真っ白という配色がーーーーーと、ここまで長々と話したが、俺はこの状態の彼女を漢字二文字で表せる。
そう、それはーーーーー
「………天使」
「……………」
そう言うと、まだ擬態していないで出したままにしているしっぽを前に持ってきて、恥ずかしそうにそのしっぽを抱いた。
はぁ……可愛ええのう。俺、今日だけで何回可愛いって言った?
「…うん!すごく可愛いよ!狐白!今すぐキスしたい!」
「きっ、き!……うぅ……で、でも……透くんがしたいなら………いいよ」
と、顔を赤らめて、静かに目を閉じる狐白。俺は、生唾を飲んで、彼女に近づき、肩に手を触れた。一瞬ビクッ!と反応する狐白だが、徐々に顔を上に持っていき、いわゆる、キス待ち状態になった。
「………んっ」
「ちゅ………ん」
柔らかく、俺をこれでもかと惑わす魔性の唇。胸に手を置いた狐白が、ギュッ、と服を掴んだ。
顔を離す。狐白の顔は上気しており、小さな声で「もっとぉ……」と呟いた。
俺は、肩に置いていた手を、片方腰に手を回し、その後三十分ほどただただキスをしていた。
朝ごはん食べるのめちゃくちゃ遅れました。
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知ってる人もいるかと思いますが、カクヨムコンに現在、私の作品を三つ応募しています。
まず、カクヨムコンの方に、『声しか知らない嫁さんと本当に付き合う』と、『
そして、短編の方に『隣の家の不思議なシスターと不思議な関係』を応募しております。
応援の方、よろしくお願いします。ついでに、この作品のフォローと星評価三つもよろしくお願いします。
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