第7話 お姉さんの手作り

リビングに案内し、ソファーの横にある、大っきい本棚を雪森さんに見せた。


「これが僕の本棚です!ここにはお気に入りの作品たちを置いてて、もっといっぱいあるんですけど、それらは別の部屋に置いてあります!」

「わー、凄い、結構、アニメかされてる作品が多いのね、、あ、下の方には、これから人気になる作品が並んでる」

「そうなんですよ!」


俺ほどじゃないが、雪森さんもそれなりにテンションが上がっていた。二人で好きなアニメ、ラノベの話をしているとすぐに時間は過ぎていき、


「あ、そろそろ、私、ご飯の準備するから、キッチン借りるね」

雪森さんがそう言って、スーパーの袋を持ち、キッチンへと向かった。


「僕もなんか手伝いますよ?」

やはり、ただ、作ってもらうのは申し訳ないのでそう言った。


「ダメダメ、今日はお姉さんが和樹くんのために作ってあげたいんだから。和樹くんはゆっくりしてて。あ、でも仕事しちゃダメだよ?」

と言いながらキッチンへ入っていった。


そう言われてもなぁ、ゆっくりしててもと言われても、なにもする事がない。とりあえず、ソファーに座り、テレビをつけた。うちはリビングとキッチンが一緒になっており、キッチンもからでもリビングからでもお互いが見える位置にある。


横で包丁の音とか聞こえる。さっきまでは、アニメの話に夢中で忘れていたが、今、俺の家には、雪森さんがいる。女の子、ましては友達すらも、家に招き入れなかった俺からすれば、かなり緊張する。少し、気になり、横目でキッチンを見たら、雪森さんは具材を切っていて、ぱっと、こっちを見て、目が合ってしまった。急いで目を逸らすと、


「あー、今、こっち見たでしょう?和樹くん」

「み、見てません、、!」

バレていた。


「お腹空いちゃった?もう少し待ってね」

と、まるでお母さんみたい言われ、俺は大人しく待った。


少し、待ってから、キッチンから雪森さんが、


「はーい、ご飯出来ましたよ〜」

と、キッチンとリビングの間にある、テーブルに雪森さんはご飯たちを並べていた。


「あ、ありがとうございます、うわ、すごく美味しそう」

そこにはご飯と唐揚げがあった。一見、シンプルだが、これが美味しいんだ。


「ごめんね、和樹くんがなに好きか分からなかったから、とりあえず、唐揚げにしてみたの」

「いえいえ、唐揚げはめっちゃ好きです!」

「そう?良かった」

「え?」

「ん、どうしたの?

いや、なんで俺の隣に雪森さんが座ってるの?もちろん、向かいにも椅子はある。


「い、いや、どうして、隣に?」

「だって、和樹くんが食べてるところ、近くで見たもん。さあ、食べて食べて」

「わ、分かりました、、」

なんかよく分からないが、今は、目の前の唐揚げを食べたくって仕方がいない。


「じゃ、いただきます」

唐揚げを口に含む。衣はめっちゃサクサクで中の鶏肉はすごい柔らかく、ジューシーだ。誰が食べても美味いと言うであろう美味さだ。美味しすぎて、俺は感想をつい、忘れていたが、雪森さんはただ、微笑みながら、黙々と食べる、俺を見ていた。


「はー、ご馳走です。めっちゃ美味しかったです、雪森さん」

「うん、良い食べっぷり。作った甲斐があったわ」

そう言い、雪森さんは皿を持って、キッチンへ向かおうとしていた。


「あ、洗い物は僕がしますよ」

「ダーメ、和樹くんはゆっくりしててったら」

「もう、十分ゆっくりしましたから」

「んー、じゃ、一緒にしよっか?私が洗うから、和樹くんは拭いて」

「分かりました」


「はい、次のお皿」

「はい、任せてください」

って待て。なにこれ。めっちゃカップルみたいじゃん。さっきはあんまり、考えずにいたけど、雪森さん、めっちゃ近いし、めっちゃいい匂いする。とりあえず、皿を割らないようにしよう。


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