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ライブ本番直前。

舞台袖にて、スタッフを含めた今日の関係者一同で、円陣を組んだ。その中に組み込まれた私は緊張のせいなのか脂汗が滲んできた。

「頑張るぞー!!!」

主催のライブハウスオーナーの音頭に合わせて皆が合いの手を入れる。私も追って弱々しく声をあげる。

心臓がうるさく鳴っている。私達の出番は、トリの一つ前。前には三組もいる。その間ずっとドキドキしながら待つには、心臓が持つか心配だった。

「ニッキー客席で見ようよ!」

あわこに誘われて、されるままに引きずられていく。前までどうやって緊張しなくなっていたのか、完全に忘れてしまった。失敗したらどうしようだの、嫌な考えばかりひたすらバタバタ駆け回る。

ぐるぐる考えている間に、あわこが客席の最後列で止まった。ざわざわと開演前から盛り上がっているその面々には、どこか見覚えがある。思った通り、H.OYのライブの時に見るお客さんが会場のほとんどを占めていた。

全員の顔を覚えてはいないけれど、この会場の雰囲気がH.OYのライブと一緒なんだ。間違いない。

ステージ上で、初めのバンドが準備を始めた。チューニングの音がして、一お客としての私に成り代わる。わくわくしてきた。この始まる前のチューニングが一番気持ちを膨れあがらせる。

「"シュリイロ"です!よろしくお願いします!」

始まりの音をかき鳴らして、ボーカルの人が叫んだ。それにつられて、私の口が勝手に歓声を上げる。

ライブが、始まる。

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