第4話
翌日。
明日からすると言って、今の俺に何ができるのかと言うと、何も無い。
「いくとくんどうしたの?」
だから今日も隣に住んでいる幼馴染の真白の家にいる。
「なんでもないよ、ちょっと考え事をね」
特にやることもないしな。
「ねえ、これみてみて」
「ん?」
真白が見せてきた大きな本には大きなトカゲ、いや、太古の王者たちが沢山描かれていた。恐竜大図鑑である。
「恐竜か」
「うん、きょーりゅーさん!ちょっとこわいけどかっこいいの!」
「そうだね」
ああ、懐かしいな最後の生物の授業はこんなことやったっけ。
「懐かしいな。古生代、中生代、新生代。先カンブリア時代、カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀、古第三紀、新第三紀、第四紀.....おー覚えてる」
「こせぃだぃ?いくとくんなにいってるの」
「なんでもないよ、ちょっと長い独り言」
こういうのは口に出した方が覚えられるのだ。もしかしたらと思い、真白からちょっとその図鑑を拝借してページをめくってみると、おぉ。
「いたハルキゲニア、アノマロカリス、オパビニア」
そこにはカンブリア紀のバージェス動物群が。身体中刺々としたハルキゲニア。〇ケモンでいうアノ〇スみたいな見た目をしたアノマロカリス、多分これが元になってる。知らんけど。そして5つの目を持つ奇っ怪なオパビニア。
前の高校生物の教師が可愛いと言っていたけど、今一度見てもその感情はわいてこない。
「きょうのいくとくん、なんかへん?」
今日久しぶりに俺は勉強した。
俺は前世、学校の授業が得意ではなかった。結局自分で1人学び直すしてやっと理解できる。暗記とか特に授業でやったって忘れるのが常だった。単に俺が復習してなかった、勉強に対してクズであっただけなのだが....。
それに俺は人より理解が遅い。頭の回転、情報処理能力が人より劣っていた。だから他の人達より何倍もかけて勉強しなければならなかった。しかも1人で。分からないと立ち止まってしまう。塾には行っていなかった。先生に聞くは聞けるが、あまりしなかった。
だから受験勉強しようと意識した頃には時すでに遅し。だから受かるわけなんてないのだ。怠惰なのだから。
でも、こんな勉強嫌いの俺でも、知識をつける、学ぶということ、練習した問題が解けるということは楽しかった。これは主観だけど、嫌な問題でも分かった時は「分かる!」と高揚した。勉強は嫌いだが、学ぶこと自体は嫌いではない。
未練ではないが前世でなせなかったこと...
今からは早すぎるくらいだが、早いに越したことはない。
やるか、受験勉強。
俺なりに、ゆっくりと、時間をかけながら。
期間は何年もある。
最初からやろう。
転生した俺は自重しない 無依 @kuzukuma832
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