第18話 名家の末裔の宿命
<なに?ロマノフ家最後の末裔だと?>
【ロマノフ家とは、ロシア帝政の実権を握った帝室である。ロシア帝政は1613年にミハイル・ロマノフがモスクワ大公国の他、2国を統治していたリューリク朝の後継者として皇帝に君臨し、開始されたロシアの帝政である。
1712年にピョートル1世が帝都をモスクワからサンクトペテルブルクに遷都した後、戦争が数回勃発し領土を拡大していった。
しかし1905年に「血の日曜日」事件が勃発。これが「ロシア第一革命」となった。この事件は労働者の平和懇願行進に対し、政府側が発砲し1000人以上の死者を出した事件である。
その後の1917年ロシア(第二)革命が勃発。ニコライ2世が退位し、ロマノフ朝が滅亡。その後、革命軍によりロマノフ家のほとんどが逮捕され、その翌年の1918年、皇帝一家が銃殺され帝室は断絶した(ロマノフ家の処刑)】とされている。
勇は上記の細部までは知らないものの、「ロマノフ家の系譜を絶たれた」という事くらいは承知していた。
「おい、何を言い出すんだ。ロマノフ家の子孫は処刑で断絶しているんじゃないのか?」
「ええ、当時はそういう事になっていますが、帝室でしたから様々な形で実存する人間は存在します。現在の様々な国も同じような統治をしていた訳ですから、色々な形で、例えばイギリス王室の人間として生きていた人もいます。ですが、私は<第10代皇帝アレクサンドル1世>の子孫なんです」
「それはどういうことなんだ?」
「その後のロシア帝国、ロマノフ家の第11代皇帝はニコライ1世で、私の祖先であるアレクサンドル1世の兄弟にあたります。その後の皇帝の系図はニコライ1世から展開されました。ですので、私の直系の祖先からは皇帝になった人間は居ません。しかし、わたしは秘密裏に第10代皇帝の末裔として存在しているのです」
勇はそこまで詳しく知らないため、ぴんと来ていない。
「まぁ、要するに名家の名残ってことか」
「簡単に言うとその通りです」
「だが、それのどこが問題なんだ?」
タクシーの運転手がバックミラー越しにまたにやにやしていた。
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