第12話 偽りの衣

二人は六本木ミッドタウンに歩き着いた。ウニクロは地下一階にあり、リサに似合う服を探した。しかし日本人女性向けに作られているせいか大きめの服で目ぼしい服はあまり無かった。どれも一長一短で決定打に欠ける。

「特別着飾る必要は無いですよ」

「まぁ、そうは言うがそれなりに似合う服がいいだろ?」

「そうですけど」

リサは俯いて控えめに話す。その表情は若干何かを気にしている様だった。ウニクロには外国人も立地柄ちらほら服を物色している。

「あそこに似た様な外国人がいるから参考にするか」

「え、ええ」

その返答は生返事で、その外国人の居るコーナーには近づきたくないという雰囲気が勇には感じられた。それは何故かは勇には分からかったが、都合が良くない事は確かだった。

「どうした?具合でも悪いのか?」

リサは俯いたまま返事をしない。暫くして

「あの、申し訳ないのですが私のサイズの合う服を持ってきていただけますか?デザインは気にしなくても良いですので」

「そう言うならそれでもいいが試着はしないとな。あと靴だな。ハイヒールではどれも似つかわない」

勇はリサの様子を察し、その外国人女性の居るコーナーに背を向けてサイズの大きめの服を適当に見繕う。

「うーん、女性の普段着はどんなのがいいのかよく分からん」

服を物色する外国人女性をちらちらと見ながらそのセンスを観察する。その外国人女性も色が白く、東欧系の女性の様だった。結構大柄だったので、その女性の選んだ服に倣うことにした。どうやらその女性はざっくりしたワンピースを選んだ様だった。勇もその服の色違いで淡い白系の大きめな服に決めた。

「こんなのでいいか?」

「はい」

フィッティングルームの前で勇はリサにその服を手渡した。靴も都合よく近場に陳列してあったので、白いスニーカーを手に取りリサに合うサイズを見ていた。

リサが試着している間、先程の外国人女性がスマホを持ち出し始めた。そして此方へ視線を数回投げている様にも勇には感じられたが、そういうこともあるだろうと解釈して特段気には留めなかった。リサが何かしらを避けている理由と何かしら関係があるのかも知れないと一応気に留めて置いた。

「着替えました」

リサはフィッティングルームのカーテンを開けた。元来スタイルが良いので服も余計に映える。そこそこお似合いだ。

「いいんじゃないか?靴も用意したがサイズはこれでいいか?」

勇は待っている間に選んだ24cmの白いスニーカーをリサの足元に置いた。その服を着たまま靴を履く。

「大きさはOKです」

「じゃ決まりだな」

リサは少し照れ笑いしているようだった。先程の外国人女性の居たコーナーをちらりと見遣ったが、既に姿が無かった。

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