第9話 外務省職員が国際援助機構(IAO)なるところに連絡する(1)

勇はスマホで検索した「国際援助機構(IAO)」なるデリヘルに早速電話する。指名は「レディ・カカ」なる秘密の多い嬢だ。

「プルルルル」

いくらベテランでもこういう類に電話する時は少々緊張する。

「はい、毎度ありがとうございます。IAO、国際援助機構です」

「一人お願いしたいんだが」

「ありがとうございます。女の子の指名はございますか?」

「えーと、レディ・カカって娘、指名できるか?」

「あー、カカちゃんですね。大柄セクシー系ですよ。承知しました。どちらのホテルでしょうか?」

「虎ノ門の第三ホテル東京だ」

「何号室になりますか?」

「1201」

「承知いたしました。で、コースはどうしましょうか?」

「一番安いのでいいんだが、何分のコースだ?」

「60分からでございます。料金は15,000円と交通費1,500円で16,500円になります」

「それでいい。ところで、その娘は結構な大柄だろ?」

「そうです。身長は高いですよ」

「そうか。ではお願いするよ」

「ありがとうございます。お名前頂戴できますか?」

「加藤だ」

「加藤様ですね。到着時間はおよそ30~40分くらいですので少々お待ちください」

「よろしく」

勇は敢えて偽名を使った。何となく気まずいのが理由ではある。とはいえ、取り敢えず大柄な女性がこの部屋に来ることは決定した。だが本当に「レディ・カカ」なる女性はこちらの期待通りの体形なのだろうか、という一抹の不安はあった。

「しかし、国際援助機構なんていうデリヘルに外務省勤めが電話するとはな」

勇はぽつりとこぼして頭をポリポリ掻いた。

浴室のドアが開く音がした。リサは申し訳なさそうに白いガウンを纏って軽く頭を下げる。

「もう2~30分すると洋服を交換する女性が到着する予定だ」

「そうですか」

「着替えたら洋服を手配しに行こう」

「はい」

30分程経過して出入口のドアのチャイムが鳴った。

「はい、今開けます」

勇はドアへと向かう。

「IAOのレディカカで~す」

勇はがちゃりとドアノブを手前に引いた。

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