第7話 『聖女』と学園
学生の毎日は目まぐるしく変化していく。それが貴族は尚更なのだろうと、卒業を間近にした今日この頃、強く思うようになった。
……いや、この忙しさは『貴族だから』ではなく、『聖女の付き人だから』なのかもしれない。
あの卒業パーティーからもう少しで一年が経つ。今度は私達が卒業する番なのだが、やはり王族とその王妃の卒業ということもあり、とても豪奢になる──と、家の専属の使用人から告げられた。
それはさておき、杏──『聖女』様はこの一年。これでもかと言うくらいに私と大半の時間を過ごしていた。それは今も。
『ベリスさんベリスさん。この刺繍ってどうですか?』
『可愛いわね。白にすれば制服でも問題なさそうだし』
『ですよね! それじゃあこれ、作ってみますね!』
声が大きく、距離が近いため……煩いというより、正直邪魔である。こちらとら大学へ進学が決まっており、今は知識の復習と予習を兼ねての勉強中なのだ。しかし偶然にも杏に見つかった私は、勉強にほとんど手をつけることができていない状況。ホントどうしろってんだ。
私は確かに付き人だが自由時間をくれ。授業中とかならまだしも、放課後くらいはゆっくりしたいのだ。まあそういう細かい部分は大雑把だから、実質休みはないんだけどな! ホント貴族社会は滅びたほうがいい。そして陛下の頭皮を焼き畑農業してやりたい。
まあそれももう少しの辛抱だろう。私はそう楽観視していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます