第6話 説教
「──申し訳ない」
「はぁ……そう思っているなら少しは相談してください。そして表情に出さない……これも前々から言ってるわよね?」
「はい……」
王城のとある一室。使用人達から『説教部屋』と呼ばれる小部屋で、私は婚約者である第二王子を正座させていた。
卒業パーティーの最中に、婚約者を差し置いて、苦虫を噛み潰した様子で『聖女』様に挨拶したならず者なので、一切の容赦をする気はない。というか陛下から『阿呆が何かしたら叱ってくれ』と言われているから、心置きなく注意できるのだ。
「で? 今回は一目惚れですか?」
「違う! それはありえない!」
婚約者はその眉目秀麗な顔を険しくして食い気味に叫ぶ。折角整えた金髪も台無しだ。
お陰で真面目に言っていることとはわかるけど……まあ反省もしてるのでしょうし大目に見ましょう。
「では何故、婚約者のいる身で他の女性にドレスを買い与えたのです? 弱みでも握られましたか?」
「それは……言えない」
「それは弱みをネタに脅されてるからですか?」
「……うん」
「そう……じゃあ仕方ありませんね」
「え?」
あっさり引き下がると、婚約者は呆気にとられた様子を見せる。
……彼、自分に非があると理解してると、本当に臆病になるというか『罪には罰を』と強く思っているというか……まあ彼のそこが美点なんでしょう。感情的になることも多いけど。
「さあ。もう夜更けよ。明日も学園なんだから、早く部屋に帰りなさい」
「あ、ああ……」
彼は狐につままれたかの様子で部屋へと戻っていく。
さて……本当に夜中なのよね。私も泊まりたいけど、帰ったほうがいいわよね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます