息抜き〔セト・ユウラ・テイト・デリヤ〕
【セト】
セ「五日もひたすら書類仕事だけやってると、流石に嫌になってくるな」
ユ「珍しいわね、あんたが仕事を嫌がるなんて」
セ「仕事が嫌というか、一旦身体を動かしたい」
ユ「手合わせなら付き合うわよ。でもあんたはまず寝た方がいいと思うけど。昨日も月が沈んでからようやく部屋に戻ったと思ったら、日の出直後に帰ってきたって兵が言ってたわよ。ほとんど寝てないでしょ。息抜きに寝たら?」
セ「寝るのって息抜きにならないだろ」
ユ「普通はなるわよ」
兵「失礼します! 副長、西門の遠方に黒獣です。街までまだ距離がありますが、いかが致しましょう?」
セ「報告ありがとう。実戦部隊を適当に編成してすぐ向かうから、安心してくれ」
兵「はい! では自分は持ち場に戻ります」
セ「ちょうどいい息抜きになるな」
ユ「黒獣討伐が息抜きになるのなんて、あんたくらいよ」
【ユウラ】(調=調理師)
ユ「厨房借りていいかしら? 久しぶりに作りたくなって」
調「もちろんです。ぜひどうぞ。材料はどうしましょう?」
ユ「持ち込んでるから平気よ」
調「これはまたすごい量を……」
ユ「ようやく司令官も帰ったし、気晴らしに料理がしたくてね。支部の皆も疲れてるでしょうし、ちょうどいいでしょ?」
調「そうですね。では我々もお手伝いしますよ。何を作られるんですか?」
ユ「エルティ特産品のコース料理。前菜からスープ、パン、メイン、デザートまで手作りで行くわ。腕が鳴るわね」
調「あ、今日はガチの方ですね……ノタナさん呼んできます。この時期と時間帯ならお手すきでしょうし」
ユ「ありがとう。ノタナさんが忙しくなさそうなら、お願い」
調「ユウラさん、非番なのに奉仕活動なんてすっごいなあ……」
【テイト】(研=研究員)
テ「うーん、行き詰まったな……」
研「いったん休憩しましょう。他の研究でも進めていたら、いい発想が下りてくるかもしれません」
テ「うん、そうだね。でも解けなかったことでもやもやしているから、まずこの気持ちを解消したいかな」
研「……えーと、支部長は市長とお話し中ですね。副長は、先ほど着いた行商人が道中黒獣と戦闘したらしく、負傷者多数ということで治療に行かれています。残念ですが、今はテイトさんの呪の実践演習のお相手がいません」
テ「君がいるよね」
研「あー、研究が忙しいなあ! これとこれとあれとそれもしないといけなーい!」
テ「後にしようね。この間伝えた課題をきちんと克服できたか、先にそれを確かめないと。この時代だから、研究ばかりというわけにもいかないよ。ほら早く」
研「誰かー! 助けてー!」
【デリヤ】
兵「デリヤさん、あの、副長がお呼びなんですが……」
デ「急ぎの用事じゃないだろう? 後で行くよ。用件は分かったから下がったらどうだい?」
兵「デリヤさんの新米兵への剣術指導が終わったらすぐに呼ぶように、と言われているんです。終わってますよね?」
デ「見て分からないかい? 僕は今忙しいんだ」
兵「え、鏡を見てるだけですよね?」
デ「それに忙しいんだ。ここ、前髪のこの部分が傷んでいる……やっぱりエルティの品は中央のものには及ばないね。一番いいものを使ってこれか」
兵「全然分かりませんけど。いつも通り整っていらっしゃると思います」
デ「田舎者は審美眼がなくて困るね。艶が僅かに足りていないんだ。今度中央から、いつものを取り寄せようか」
兵「面倒くさいなこの人……」
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