北支部男子会〔ランテ・セト・テイト・アージェ・マーイ〕

マ「皆さん良いときに食堂にいてくださいました!」


ア「もう食い終わるぜ」


セ「この後任務の打ち合わせなんだ。恋愛相談なら今度でいいか?」


マ「いえ今日は、皆さんのことが聞きたいんですよ!」


ラ「オレたちのこと?」


マ「はい。ぜひとも皆さんの恋の話を聞かせてください! 経験値にしたいんです!」


セ「人選大丈夫か?」


マ「またまた。セトさんなら片手じゃきかないくらいあるんじゃ?」


セ「そんな時間、あるように見えるか?」


マ「見えないですね……でもセトさん相手なら、構ってもらえなくてもいいって人はたくさんいるんじゃないですか?」


ア「こいつ全部振ってやがるからな。前もうちのが泣かされてた。失恋のショックで三日も休まれて難儀したんだぜ。遠征の出発が遅れちまってよ」


セ「人聞き悪い言い方するなよ。半端な態度を取って後から泣かせるより、まだその方がいいだろ」


テ「こればかりは耐えてもらうしかないね。でもセトは、生活を変えなきゃ仕事中毒が治らないと思うから、そのうち考えてもいいんじゃない? 彼女」


セ「そのうちな」


ラ「すごい、オレでも全然その気がないって分かる返事」


マ「では、そういうテイトさんはどうなんですか?」


テ「僕? ないことはないけど……マーイは何が聞きたいの?」


マ「馴れ初めとかですかね?」


テ「僕の場合は特別な話は何もできないけど……相手も呪をやる人だったから、話しているうちに意気投合して、って感じだったかな?」


マ「告白はどちらからどうのように!?」


テ「え……それは、僕から言ったけど。どのようにっていうのは……うーん、自然に? 誕生日にプレゼントを渡しながらだったよ」


マ「なるほど、誕生日……プレゼント……」


ラ「マーイも告白するの?」


マ「すっ、するわけないだろう!? これはあくまで、恋愛経験値を得るためで!」


テ「それで、アージェは? アージェのそういう話、僕は聞いたことないな」


ア「お袋には早く嫁もらえって言われてるんだけどよ。女っつーのは気難しすぎてなぁ」


セ「お前、隊長やってるときは気遣いできてるだろ? この間の隊員アンケート、女性隊員からの評価も結構よかったよな」


テ「セト、仕事と恋愛の気遣いってちょっと違うと思う」


ア「へっ、セト、おめーも女とは上手くやれそうにねーな!」


テ「うーん、でもセトはアージェよりはかなり上手くやれるとは思うかな」


セ「だってさ?」


ア「くそっ、何が違うってんだよ!」


マ「そりゃモテ度がまず違いますから……オレだって同じ癒し手なのにどうして!」


テ「何て言えばいいかな。気の遣い方が、セトのは女性受けがよさそうというか。言語化が難しいんだけど、アージェの気遣いって直接的、セトの気遣いは婉曲的って違いがあると思うんだ。そこら辺かな? マーイはまず変な謙遜をやめて、気遣いを覚えるところからだね」


ラ「オレは?」


テ「ランテは、気遣いができなくても許される雰囲気を持ってるから、別の話になるかな」


マ「テイトさん……オレは今日からテイトさんのことをテイト師匠と呼びます! これからオレを鍛えてください!」


テ「いいよ。呪ならじっくりしっかり教えてあげられる。癒しの呪は僕は専門外だけど、セトのをよく見てるから多分教えられるし、属性呪を習いたいというのならもちろん喜んで——」


マ「そ、そうじゃなくてっ!」


ラ「マーイ、一緒に頑張ろう!」


マ「そうじゃなくてー!」

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