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メインキャラ達がモブの目からどう見えるのかが分かる貴重な話でした! こういうタイプの外伝好きです。
本編読んでると、最初のランテとセト達の出会い辺りではあまり感じないんだけど、北支部のことやこの小説の世界が段々と広がってくる怒の章辺りから、セト率いる実戦部隊が、いかに支部内の才能を集中させた少数精鋭のエリート部隊で、雲の上の存在なのか、段々と分かってくるんです。
作中に出てくるランテ以外のセトの直属って、ユウラ、テイトの他に、過去には追放されたデリヤ、すぐ裏切るイッチェ。いずれも強者ばかりで、北支部の一般兵5人を一瞬で倒すほどの実力を持つイッチェですら、ユウラ、テイト、デリヤと比べると若干見劣りするレベル。だからこの面子を見ているだけでも、マジで支部内で最上位クラスの人材を選抜して、セトの周りに固めている隊だってことが伺える。
一応はアージェ隊と担当区域を割って、黒獣を遠征して倒しに行くのが主任務ってことらしいけど、実質的には北支部の在り方を左右するような重大な案件の取り扱いに関しては、多分ハリアル自身が出張っていかない場合は何でもかんでもこのセト隊がやってたんじゃないか、と。そんな雰囲気すら漂わせる。
だから読んでて、前々から不思議には思ってたんです。「新人のランテがいきなりこのセト直属の隊に配属されるって、他の兵士達は不自然に思わないのかな?」って。読者の視点から見れば、セトはランテと初めて会ったときから、持ち前の勘でランテの内に秘める「何か」を感じ取り、ランテが只者ではないと思い手元に置いていた、って事情は分かるんですが、北支部の兵士達はそんな事情は知らないわけで。
「こいつは実は大物なんじゃないかって思わせる。そういう意味で、ランテが副長の隊に所属できたのは、少し分かる気がするんだ」
――ああ、やっぱり、他の兵士達から見ても、新人がいきなりセト、ユウラ、テイトと一緒に仕事できる環境を与えられるって、若干不自然に感じてたんだなぁ……。
ランテがデリヤと一緒にエルティに戻ったとき、最初門に入れてもらえなかったのも、あの門番達、口には出さなかったけど、正直「新人で大して優秀でもないのにセトさんの隊にいきなり配属された特別扱いされたいけ好かない奴。しかもそいつが支部の危機を呼び込んだ」みたいな感情、あったかもしれませんね。
……この独白してる兵士、自分と気が合います。ユウラはセト以外の男とくっついてほしくないよなぁ。てか、セトなら許します。今後も二人を見守っていきます。
「普通の癒し手なら完治までに三日はかかるだろう怪我が、セトさんの呪では呼吸を二回するほどの時間で治った」
これも貴重な情報ですね。作中、セト以外の癒し手が傷を治すシーンが(多分)なかったはずなので、純粋な癒し手としても、セトが飛び抜けて優秀だというのが分かりました。ユリユの血かな。やっぱり。あと普通の癒し手の水準がどの程度のものなのかってのも。ありがとうございます。
実はこの話、当初は自分が勝手に「支部連合軍がルテルに侵攻する直前に、出陣を控えた名もなき北の兵士の独白で、彼はルテルでの戦いで戦死し、既に故人で、亡くなる直前の心の中の言葉」っていう脳内設定を捏造して読んでました。最初、電車の中でスマホでざっと流し読みしたとき、根拠はないけど「ああ。きっとこの兵士、もう死んでるんだなぁ……」って思っちゃいまして。
でも、あの戦いで北支部では犠牲者出さずに済んでそうでw(西やモナーダ麾下の中央反乱兵はある程度死んでたようですが)、まずは良かったです。
こういう話いいなぁ、って思わせて頂ける話でした。ありがとうございます。
セトの隊って凄いって思う反面、どうしてもその存在が、北支部を少数のタレントによる個人技頼みにしてしまい、組織としては属人的になり過ぎるっていう弱点にも繋がりますよね。やっぱりセト隊が機能不全になったときの、支部全体のパフォーマンス低下が大きすぎるっていう状況が、長らく改善できてない状況にありますよねぇ……。
でもアージェが想像以上に政治的な振る舞いもできるってことが分かったし、レクシスも戻ってきたし、何より、この話の「彼」のような兵士が多くいてくれたら、まぁ大丈夫ですかね。
作者からの返信
サクットさん、いつも丁寧に拙作を読み込んでくださってありがとうございます。
長くなってくると、設定やストーリーがごちゃごちゃしがちで、そこには目を向けずにさらっと読まれる方も多いんですが、サクットさんのような読者を持てた私は本当に幸せ者だと常々思っています。
昔から追いかけてくださっていることも併せて、もう本当に、本当に感謝が尽きません。
私の作品って、モブと呼ばれるような人が出てくるの、多分少ないと思うんですよね。
今回そこにスポットライトあててみるか、と思ってやってみたお話です。
実はこのお話書くとき、ちらっと脱力神やらサクットさんやらが過ぎったのはあります。笑
そうなんです。セトたちの隊、めちゃくちゃ優秀な人たちの集まりで。
ハリアル的には将来支部を支えるであろう人たちを集めて、関係性を築かせたかったのと、ユウラとテイトはほぼセトの伝手で入隊してきましたから、そこを離すのもなって考えがあったみたいです(そう考えたらセトはスカウトマンとして優秀なのかも。二人はスカウトしたわけではないんですけどね!笑)
優秀な人を一緒にしていると、何かあったときに全員を一気に失ってしまうかもしれないという恐れはあるでしょうけどね……(特に今回の件とかまさに)
周りからはやっぱり、セト隊が一番優秀なのは見て分かるので、仰るように憧れのようなものにはなっていたかもしれません。
そうですね、アージェ隊も普通に強いし色々やれるんですけど、特に支部管轄の境界付近の面倒くさいこととか、一筋縄(武力のみ)ではいかないこととかは、セト隊が担ってた印象はあります。
一般兵は、はい、「なんであんなとぼけた奴が精鋭部隊に?」ってめちゃくちゃに不満を持っていたと思います。
門番たちの話を出して来てくださったのも嬉しいですね……門番ら、デリヤにもけちょんけちょんに言われていましたけど、それほど才能に恵まれた人ではなかったんですよね。
だからこそ余計にランテの抜擢は妬んだと思います。才ある人なら、何となくランテの能力には気づいたりしそうなものですし……
で、ランテが来たと同時に問題が起こったのもそうですし、実際ランテのせいでセトたちが巻き込まれているのもあるので、兵がランテを快く思わないのは当たり前と言えばそうなのかも……
ユウラ、人気あるんですよね。私もユウラ好きです。
最近久しぶりにユウラが出てくる短編書いていて、もうめっちゃ恋しくて。ユウラに会いたい……(作者がロスに苦しんでいるという)
私はユウラとくっつくならセトにはもう少ししっかりして欲しいですけどね!笑
セトの治療が速いのは、もちろんユリユから受け継いだ才も影響していますが、彼が戦う癒し手だからだというのもあると思います。
本来癒し手は戦場に出ないですし、早さは求められていない……というのもありますし、怪我人に敬虔な信者になってもらえるとありがたいですから、教会に足を運ばせる口実を作るためにむしろゆっくり治すこともあるくらいなもので。
だから普通の癒し手も本気で癒しの呪を使えばもう少し早く治せそうなものですが、危機感がある状況下で治すという経験値があるかないかの差は大きいような気はしています。
確かに、セト以外の癒し手が治す場面はなかったですね……書いてみてもいいかもしれない……
実は、もうちょっと支部側に打撃があってもいいんじゃないかな、って思いはしたんです。
ただ元の能力差がある上に、向こうは必要な戦力は全部連れて行きましたから、残っている兵はそれほどの能力はないって考えると、特に東と北の支部勢には被害は出ないだろうなって思い直しました。
もしかしたら「この人もう死んでいるのかも」って思わせたのは、さっきも書いたように私が脱力神イメージしながら書いたからかもしれません。笑 脱力神は、モブでなくても儚く散っていきますもんね……
死なない物語も好きですけど、死んでいく物語も好きです。
仰る通りで、これでも北は全体の層が厚いと言われる方なんですけど、それだって少数の優秀な人間に負担がいきがちですし、彼らだよりで回っているところは多分にあります。彼らみんなオーバーワークですしね……
ただ、そうですね、アージェは私も思ってた以上に頭が回って安心しました。レクシスも改心(?)しましたし……というのはありますが、ハリアルが倒れたので損失の方が大きいかもしれない。
ただ、はい、「彼」のような兵士はたくさんいるでしょうし、そういう人たちがまた踏ん張ってくれたら、何とかなるかもしれません。
私も書き手ながら、見守っていこうと思っています。
丁寧に読んでくださって本当にありがとうございます! 本当にサクットさんには頭が上がらない……
企画誌の方でも読みましたが、せっかくなので感想を残していきます^^*
この名も無き白軍兵士さんがすごく可愛くて……。
まだ本編まだまだ追いつけてないですが、楽しみに読み進めようと思いました。
テイトくんは本当にスパルタだぞ!
「たくさん助けてもらったから、今度は三人の、いや、仕方がないからランテも含めてやって、四人の助けになろう」
この一文にランテくんが愛され主人公な一面が表れてるなあと思いました。
大物の予感^^*
作者からの返信
こちらにもコメントをくださって嬉しいです。ありがとうございます!
名もなき白軍兵士さん、やっぱり名前はないんですけど、今もどこかで頑張ってくれているはずです。
物語では日が当たらない人にスポットを当てるのが好きで、なんだか書きたくなっちゃうんですよね。
テイトのスパルタさを教えちゃうところにちょっと笑ってしまいました! 仰る通りです!笑
ランテ、なんだかんだよく人に思われるんですよね。羨ましい。愛嬌があるからかしら……いいですよねそういう人! 私もランテになれたらいいのになー!
こっちもしっかり読んでくださってありがとうございました! とても嬉しかったです。