第89話 すわんぷぽいんと

「なに? いきなり課外授業って先生聞いてませんよ」

「冬ちゃ~ん、いきなりどこに行くの? 俺とデートかな~?」

 メイクを落としたら、元に戻った夏男、昨日までの奇行は自己暗示だったのかもしれない。

「まぁ普段から奇行癖はありますから…とくに気にもしてませんけど」

「どこに転がっても気持ち悪いことには変わりませんからね」

「聞こえてんだぞ‼ 小太郎‼」

「聞こえるように言ってるんで」

「ソコ‼ ゴチャゴチャうるさいです‼ 今日は気合入れていくです‼」

 探検隊の服に身を包んだ冬華隊長のご到着である。

 ビシッと右手に握られた魚獲り網をドンッと構える。

(何を捕獲しに行くんだろう…)

「点呼開始」

「一ノ瀬隊員」

「うむ」

「三宮寺隊員」

「はいですわ」

「佐藤隊員」

「はい」

「立花顧問」

「私、顧問?」

「二階堂……ん~と…二階堂…荷物係」

「は~い‼」

「欠員無し‼ 出発です‼」


 バスを乗り継いで、3時間…

 道中はお菓子を回しながら食べたり、二階堂さんが車酔いで吐いたり、トランプで盛り上がったり、二階堂さんが吐いたり、記念撮影したり、二階堂さんがカメラ係だったから写真には写ってなかったけど、楽しく目的地へ到着できました。


『河童ヶ池』古びた看板が池に杭打たれている。

「間違いないです…」

 冬華が看板に手を合わせ拝む。

「なにが?」

「表札があるです…ということはココに住んでいるです河童が」

「……表札?」

「うむ…この立札が表札であるなら…この汚い池は河童家の一家が住んでいるという解釈で間違いないのだがな」

「えぇ…残念なのは、表札ではないという事実は覆らないということね」

「池というより…この淀み加減、もはや沼ですわ」

「エボォロロロ……」

「河童さん家の前で吐くなです‼」

 夏男の背中をドンッと蹴る冬華

 ゴボンッ…

 淀んでいるせいか、水の音も重い…

 沼に浮いた自分の吐いた嘔吐物の上に落とされるという屈辱。

「自業自得というものだな」

「因果応報ね」

「沼は不快なのに、不思議と清々しい気持ちになりましたわ」


 沼から這い上がってきた二階堂・スワンプ・夏男。

「落とされちゃった…テヘッ」

(相変わらずのタフハートだな~)


 公園の水道水で身体を洗う夏男…

「ん? なんか眩暈が……」

 バタッ…

 突然、倒れる夏男。


「河童の呪いです、河童さん家の前を汚すからです」

 冬華が沼に手を合わせ再び拝む。


『外伝 今日の田中さん』

「いやピーマンというのは、野菜界の異端児であって…ムゴホホホ」

 婦長ゾンビが口にピーマンを押し込んでくる。

(生じゃん…生ピーマンじゃん)

「せめて…パプリカであったなら…」



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