第63話 めいや~るーむ
「意地でも見つけ出すぜ小太郎‼」
なぜ自分が、今、ここにいるのか…まったく理解できない小太郎。いつの間にかチームになっていたわけで…流されやすい自分の性格を恨むことしかできないのである。
「なんか…どうでもよくなってきました」
「なにを‼」
数日前とは真逆のテンションになった2人、アテもなくフラフラと街を彷徨う夏男と小太郎、もはや迷うような行動はゾンビと同じだ。
すれ違うゾンビも人生という迷路に迷っているのだろうか?
そんなことを考えていると市役所の前に来ていた。
「市役所じゃねぇか‼」
「なんで怒ってるんですか?」
「市役所に人がいるわけねぇだろ‼」
「何を根拠に言っているんです?」
「役人なんて、仕事を右から左に流すだけで、何が市民の奉仕者だ‼ 俺は役人が嫌いなんだよー‼」
「偏見というか…なんだか無職の嫉妬というか…まぁ一部賛成ですけどね」
「俺は、全国の負け組代表として、断固市長に抗議する‼」
「……ここの市長って誰でしたっけ?」
「知らん‼ それも含めて、これから会いに行く‼ 市長室に行く‼」
ズンズンと市役所に入っていく夏男。
受付で息巻く夏男。
「市長はいるか?」
「あぅあ?」
「何階にいるんだ?」
「あむぅあ…むぁ」
「何だとー‼」
受付ゾンビに絡む夏男。
「二階堂さん…市長室5階です」
「何だとー‼」
「ココに書いてあります」
「何だとー‼」
ツカツカと市民課に入っていく夏男、奥で体操するゾンビ、窓口には誰もいない。
「コレがお役所ですよ‼ 対応する気がないんですよ‼ 市民の皆さん、この二階堂 夏男、今から、この気怠い役所体質を改善させるべく市長室に乗り込むのであります‼」
「あの…二階堂さん、あなたがニアミスした男探しは? いや、僕もニアミスしたんですが…」
「後じゃー‼ うぉー‼」
エレベータで行けばいいのに、階段を駆け上がる夏男。
「ぜはぁー…ぇはぁー…おぇっ…」
「遅いですよ」
「オマエ…なぜ階段を使わない?」
「いや…エレベーター動いてますから…」
「こういうときは気合でしょうが‼」
「いや僕は、それほど市役所に良くも悪くも思い入れは無いというか…」
「貴様というヤツはー‼ サトリ世代気取りかー‼」
ズムッ…
カウンターで小太郎の拳が夏男の頬にめり込んだ。
「行きますよ…どうせゾンビに怒鳴るだけなんでしょうけど」
「はい…すいませんでした…無駄にイキッてすいませんでした…今思えば、なんでココにいるのかも解らなくなってきました」
ガチャッ…
ゾンビ相手だと思えば、ノックもしない小太郎。
「んだぁー‼ 無駄に広い部屋だな~おい‼」
またイキりだした夏男が続く…
「なんだキミたちは?」
「……えっ?」
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