第51話 すけるとんうぉーず

 ブンッ‼

 冬華の斧がスケルトンの身体を砕く。

「強いな…小さいドワーフみたいだ、それに引き換え…」

 禍々しい剣を構えた秋季の役に立たないこと腹立たしい。

「う~む…スケルトンも暗黒属性らしいな」

 スポーンッ…ドズンッ‼

 冬華の斧が小太郎の脇をかすめて壁に食い込む。

「………」

 背中に冷たい汗が伝った小太郎。

 チラッと冬華を見ると

「すっぽ抜けました…疲れた」

 テクテクと最前線からコテージへ帰還した冬華。

「疲れました」

「そうね、遠心力ってあるのね…四宝堂さんの体重であの重量を振り回すには体重が足りないのよ、コッチにしなさい」

 立花先生から小回りの利く鉈が手渡されました。

「ある程度まで砕かないと動きますね…アレ」

「生徒会‼ 一時、後方へ全力前進‼」

「後方へなに?」

「戦略的撤退よ‼ 悟りなさい佐藤くん‼」


 コテージへ逃げ帰り、完全に籠城戦となった戦局は圧倒的に不利であった。

「外から聞こえる高笑いが腹立つわね、生徒でなければ始末するところよ」

「あらっ? 私は始末する気でいましたけど?」

「そもそも、あの骨は、どこから湧いてくるんでしょうね?」

「……ゾンビならともかく…よし‼ 偵察をだそう‼」

 全員の視線が僕に注がれたので行くことになりました。小太郎。


 コテージの裏から、這い出た小太郎、スケルトンの足元を潜り抜け、キャンプファイヤーの様子を伺う。

「コチラ、ウィザード…聞こえますか?どうぞ」

「コチラ、立花…プリースト…聞こえますどうぞ」

 トランシーバーで会話する、小太郎と立花先生。

「あのですね…なんというか…そのゾンビがですね~、キャンプファイヤーを潜るとホカホカのスケルトンになるようです…どうぞ」

「佐藤くん、先生、アナタが何を言っているか、さっぱり解らないわ…頭を打ったの?どうぞ」

「先生…とりあえずコテージに戻ります…どうぞ」

「…どうぞ…」


「佐藤くん、どういうことなの?」

 スッとエナジードリンクを差し出す冬華。

「隊長は部下を気遣うのです‼」

「うん…ありがと…特攻隊長」

「あのですね…」

 小太郎は説明した。


 どこからか集まっているゾンビがキャンプファイヤーで焼かれると、スケルトンになることを…。

「なるほど…ゾンビの新たな新事実だな」

「どこまでも死なないのですわね」

「ゴキブリ越えです‼」

「しかし…どこからゾンビが集まって来るのでしょう?」

「………小太郎」

 双眼鏡を覗いた秋季がコレを見ろと双眼鏡を差し出す。

「あぁ…餌付けですね」


 大量に余ったマグマカレーに群がるゾンビ、それを誘導する夏男。

「カレーが尽きれば解決ってもんでもないがな」


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