第48話 り~だ~しっぷ
「明智の光秀さんが羨ましい…」
「そうですね、3日は天下人だったわけですからね…」
「ハハハ、夏男は半日だものな」
「冬華、カレーは辛口以外認めません‼」
冬華、新リーダー体制で俄然、軍隊色が増してきたツチノコ捜索隊。
山の入り口にあるコテージ、アウトドア設備が揃ったキャンプ場である。
電気もガスもある。
不自由はない。
「強いて言えば…これがアウトドアと呼べるのか?ということね」
煮えたぎったような辛口カレーを真顔で食べながら立花先生がアウトドアは不自由を愉しむものだと力説する。
「コレは…マグマのようなカレーですわね」
涙ぐむ春奈。
「冬ちゃんの手作りだー」
と、はしゃいだ夏男は、一口でダウンした。
「うむ…赤いな…レッドだな、涙で滲んで赤しか見えない…」
すでに泣いている秋季。
「アガガガ…ふぐぁ…ぐわぁ…」
ボロボロ涙を流しながら冬華が噛みしめる様にマグマカレーを食べている。
「辛さって、味覚じゃないんだよな…死に対する警戒というか痛覚だとかなんとか」
小太郎はすでに唇が倍に膨らんでいる。
地獄の夕食を終え、男女に別れ、コテージへ戻ろうとすると、マグマカレーでダウンしていた夏男が震える手で『しおり』を差し出してきた。
「なんだ夏男、胃痛なら寝ていればよいだろうに…」
「キャ…キャンプ…ファイヤーを…」
(地獄の食べ物を前に、まだ火を起こそうと…悪魔でも呼ぶ気か?)
「頼む…思い出が欲しんだ…楽しいハイスクールライフをギブミー」
泣いて訴える夏男に負けました。
(スクールライフって…4年目にして望むことなのだろうか)
良くできたもので、キャンプ場には、そういう設備もある。
「そこら辺でファイヤーされて火事を起こされるより良いと判断したんだろうな」
「なんなら一度、体験してるんじゃないでしょうかね…山火事」
「よし、火が起きたら…マイムマイムだ‼」
CDラジカセからマイムマイムが流れる。
「さぁ手を繋いで輪になって、ライトハンド冬ちゃん、レフトハンド先生‼ 正面は春奈、早く‼」
「………手が繋ぎたいんだな」
秋季がクイッとアゴで行け小太郎と煽る。
チラッと女性陣を見ると、行け小太郎と目で訴えている。
「では…僭越ながら」
小太郎が1歩前へ出ると鬼のような形相で夏男が怒鳴る。
「オマエじゃないでしょう‼」
「ハハハ、夏男よ、女性陣は拒否しているようだ、もちろん私も断固拒否だ」
「それが許されるなら…僕も」
色々疲れたので皆、コテージに戻りました。
一人、大きな声で歌いながらキャンプファイヤーの周りを踊りながら回る夏男。
「マイム‼マイム‼マイム‼マイム‼マイムベッサンソン‼」
窓からは確認できなかったけど…二階堂先輩は泣いていたんじゃないかなと思います。
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