第42話 そんぐらいた~

「ですからね、機嫌を直して戻りましょうよ夏男さん」

 小太郎が焼却炉の前で泣いている夏男を発見したのは40分後…そして説得は20分を超えた。

「俺ってアレ? そんなにキモイ?」

「まぁ…顔と行動がシックリきている分、リアリティが加算されて倍率を引き上げている感じですかね」

「どういうことだよ?」

「視覚的にも感覚的にも気持ち悪いということです」

「歯をくぃしばれ‼」

 ボクッ‼

「修正しますよ…」

 小太郎の拳が頬にめり込んだ夏男。

「されてますが…ナゥで…」

 コンッ…

 後頭部に殻の飲むヨーグルトが投げつけられた夏男

「コレ…冬ちゃんの…」

 迷わず咥えた夏男

「そういうトコなんですよ…」

 2階の窓からソレを眺めている冬華、チョンチョンと指差している先にゾンビが一体。

(なんなんだろう?)

 しきりに口をパクパクさせている冬華

「ゲボッ…なんだ…なんかデロッとしたものが」

「底に溜まったヨーグルトじゃないですか?」

「いや…酸味はあるが、臭みもある、発酵感とは別のナニカが…」

(うん…わかった…ゾンビの口に突っ込んだんだな)

 そうすると思ってゾンビの口に飲み終えた容器をゾンビの口に突っ込んだ後、夏男に投げつけたのだ。

(せめて、あのゾンビが女性徒なら…この男は救われるのだろうか?)


 さらに15分して夏男は生徒会室に戻ってきた。

 袖を引き千切った皮ジャン、やぶれたジーンズにデカいサングラスにバンダナ。

(偏ってきたな)

「その仕事…請けよう」

 何かスイッチの入った夏男、多少は伝達に問題があったことは認めざるを得ない小太郎。

「そうか、引き受けてくれるか夏男よ」

「あぁ、ソウルフルでメロディアスな曲を作るぜ…ココでな」

 自分の胸を親指でトントンと突いてみせる。

「まぁ、音楽室を使うといいですわ、そうすれば完成するまでは会わないで済みますもの」

「歌詞は冬華くんが書いてくれるそうだ」

 コクコクと頷く冬華

「合作だな」

 ピタッと動きが止まる冬華

「歌い継がれるんだぜ…二つの魂が…ネチャヌチャとフォーエバーに」

 ガタガタと肩を抱いて身体の震えを抑える冬華

「歌詞担当はアミダくじで決まったのだ、ハハハ」


「作詞 四宝堂 冬華 作曲・編曲 二階堂 夏男 秋季先輩…名は残りませんけど…いいんですか?」

「………なんとぉー‼」


 思わぬ落とし穴に震える2名、秋季と冬華、謎のテンションを得た夏男。


 そして校歌作成が始まる…。

 伝説を残せるのか夏男‼


(まだ続くんだ…この話)

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