第35話 いんる~む
「えぇ…今度見かけたら食ってもいいと言っておきました」
「良い考えですわね、賛成ですわ全面的に」
「正しく伝わるといいのだがな」
生徒会室で正月に起きた夏男不法侵入の顛末を話す小太郎。
「しかし…アイツ、そんなことをしているのか、末期だな」
「えぇ脳みその方が…残念な事ですわ」
冬香が電気ストーブで餅を焼いて、チーズを乗せて食べている。
「ハガ…ハガガ…ガフガフ」
相変わらず猫舌なのに過熱した食に悪戦苦闘している冬華。
食べ物に対して勇猛果敢である。
「その夏男は?」
「さぁ? 今朝はまだ登校してないようですわ…ずっと来なくても構いませんけど」
「自主的転校を薦めてみてはどうでしょうか?」
「勧めた時点で自主性が失われるがな…まぁ…登校中に美人でも見かけたんじゃないのか?」
「海をも越えて追いかけていけばいいのですわ」
「日本の廃棄物みたいな人ですからね」
「我々が要らないものが、海の向こうで必要とされるだろうか?」
「ぐわぁああぁぁ…ふがっ」
口内にとろけるチーズが張り付き足掻いている冬華…その頃。
「…でさぁ、生徒会に所属しているんだけど、庶務という名で実の会長を務めているわけ…俺」
公園で缶コーヒーを飲みながら、サラリーマン風のゾンビと話し込んでいる夏男。
「いやいや…それほどでもないって、まぁ俺がまとめなきゃ、何も決められねぇ連中だからな…えっ、学校へ行かなくていいのかって? ハハハッ、大丈夫なんだよ…俺…俺…アンタと同じ窓際だからさ…エグッ…あわっ…ぐわぁぁぁー」
咆哮のような声をあげて泣き出す夏男。
ゾンビしか話し相手がいない悲しきモンスターである。
「二階堂 夏男…今日は学校休みます‼ いや…アイツらが迎えに来るまで休みます、引き籠ります‼」
ゾンビに引き篭もり宣言して自宅へ戻る夏男。
部屋に籠って5台ズラッと並んだモニターの前で寝転んでリモコンをポチッと…
5台のモニターに一斉にJK(10代)JD(20代)人妻(30代)美熟女(40代)美魔女(50代)のAVが一斉に映し出される。
夏男専用AVルームで引き籠ることにした夏男。
「今頃、アイツら俺が登校しないことを心配しているんだろうな…たぶん…きっと…そうだといいな」
同時刻…
「はい、今日はゾンビは感染症ではない‼ このあたりを教えたいと思います‼」
「はい‼」
冬華がノートを広げる。
「佐藤君は噛まれても感染しませんでした‼ このことから感染症ではないと先生は思います」
(僕の実体験からなんだ…)
特に誰も気にしてない夏男の欠席、その後、夏男は4日間引き籠り、5日目に校門まで様子を見に来たところを立花先生に見つかった。
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