第31話 にゅーいや~

「さて…忘年会から新年会へ年越しパーティの準備を急がねばなるまい」

 明日が大みそかだと言うのに突然パーティを所望してきた生徒会長。

 しかも、年またぎである。

「えっ、今からですか?」

「そうですわ大みそかイブですから」

(大みそかにイブを付けたしやがった)

「クリスマスだけにイブとか不公平だからな」

 2日間の除霊で風邪が治った夏男、庶務(雑用)として生徒会に完全復帰である。

「冬華…イブの意味が解りません‼」

「そういえばイブってどういう意味なんでしょうね?」

「前夜祭とかでいいんじゃね?」

「とかでじゃなくて前夜祭なんですけどね…意味は」

「マジで? アダムとイブのイブかと思ってたわ俺」

「ほう、そうすると25日はクリスマス・アダムとなるのか」

「なりませんよ…なんですかクリスマスアダムって」

「ふむ…はっ、アダムが先に造られたのだから…23日がクリスマス・アダムということだな‼」

「それですわ‼」

「じゃあ…クリスマスはどうなるんですか? アダム、イブときて…25日はどうなるんですか?」

「クリスマス…リリス‼これしかねぇ‼」

「クリスマス・リリス…言いにくいな」

「それ以前に暗黒の香りがしますよ、聖なる夜感が皆無なんですけどリリスって」

「悪魔の母ですわ」

「冬華…それでも祓ってみせます‼」

「それに、聖なる夜にトナカイ駆って飛び回る赤い爺さんがサタンになってしまいますよ」

「まぁ、その場合、赤い鼻のトナカイというか…赤い鼻のマッドなピエロがやってきそうですわね」

「そんな映画ありましたね」


 ………

 視聴覚教室で『IT』前後編を堪能しました。

「ピエロ怖ぇわ…俺やっぱピエロ怖ぇわ」

「夏男、ピエロ恐怖症はアメリカ人に多いらしいぞ」

「マジ? 俺の血に米国の血が?」

「人類皆兄弟です‼」

「冬華ちゃんは俺の妹ってこと?」

「ゾッとする話ですわね」

 ジーっと夏男を見ている冬華

「……嘘です‼ 唯我独尊でいいです‼」

「ん? そもそも何の話をしていたのか?」

「……年越しパーティがどうとか…でしたよね」

「それだ‼」

 秋季が扇子をパチンと閉じる。

「私の家で開きましょうか?」

「冬華のマンション、ゾンビが適当にいます‼ パーティしてる感じがします‼」

「あ~、あのラウンジ広かったね~、立食パーティとか良さそうだったな」

 窓から覗いたマンションの様子を懐かしそうに思い出す夏男。

(後悔とか無いんだろうな…)


 変態って後悔しない生き物なのだと小太郎は今日、学んだ。




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