第27話 あうとどああうとろ~
「ん? 三宮寺さんの家にはゾンビの他にミイラもいるの?」
立花先生が日本酒を瓶でラッパ飲みしながら廊下に出てきた。
白衣を脱いで、大きめの胸を自己主張させる服を見て、ミイラ男の鼻息がガラスを更に曇らせる。
「皆さん、どうかしまして……」
廊下に出てきた春奈と目が合うハアハアしているミイラ男。
「まぁ、雪が積もってきましたのね~」
(あくまで視界に写さないつもりだな…)
冷凍チャーハンをフーフーしながら冬華も廊下に出てきた。
「廊下の方が早く冷めます‼」
そして曇った窓の向こうに見え隠れするミイラ男に気づく、良く見ようと窓に近づきジッと至近距離でミイラ男を見ている。
ミイラ男のハァハァがより強くなる。
「夏男は…喜んでいるのだろうか?」
秋季が不思議そうな顔で窓の外で見え隠れする夏男ことミイラ男の処置を検討し始めた。
「つまり…2択なのだ、夏男を中に入れたほうがいいのか、あるいは、窓の外で女子を見せていたほうが幸せなのかということだ」
「幸せは人それぞれですからね」
おもむろに、ほろ酔いの立花先生が窓を開けた。
「先生‼ ぼかぁ…僕はもう…先生‼」
ボクッ‼ガチャン…
ドサッ…
白い雪の上にミイラ男が、うつ伏せに沈み…うっすらと赤い模様を描く。
飲み終えた一升瓶で頭部を強打されたのだ。
「まぁ…綺麗ですわ」
春奈が両手を合わせてほほ笑む。
窓を閉める前にミイラ男の後頭部にコトッと食べかけのチャーハンを乗せて窓を閉めた。
皆が部屋に戻りフライドポテトが冷める頃
ガシャーンッ‼
「やらいでかー‼」
ほんのり額の包帯に血を滲ませたミイラ男がガラスを割って侵入してきた。
「まぁ、カオナシでも、もう少し遠慮がちに入ってきましてよ」
「ハハハ、夏男も混ざりたければ玄関から入ればよかろうに、なぜに窓から?」
「不審者ってことで処理していいんじゃないですかね」
「小太郎ーー‼ 貴様ー‼」
ミイラ男が小太郎に掴みかかろうと走って来る。
バンッ‼
商事から手が伸びてミイラ男の顔面に熱々のピザが張り付く。
「痛っ‼ そして熱っ‼ チーズが包帯越しに熱い‼」
立花先生でした。
仰向けに引っくり返ったミイラ男、顔面にピザが張り付きチーズが伸びる。
「まぁ、最近のチーズはよく伸びますわね」
張り付いたピザを顔面に貼ったり剥がしたり冬華が楽しそうだ。
「死ぬ…苦しい」
冷めたチーズが顔にへばり付いて包帯との相乗効果で窒息しているミイラ男。
(生き残った人類で今、最もゾンビに近い位置にいるのは…二階堂さんだな)
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