第23話 みどるね~む

「ミドルネームってカッコよくね?」

 首を痛めた夏男、甲冑を被っていたのだが、ゴルフクラブでフルスイングされたのだ、湿布程度で済んだのはラッキーだったのかもしれない…

 そう思う反面、いきなり何を言い出すかと思えばミドルネームである小太郎は思った。

(頭部へのダメージの方が深刻だったのでは?)

「ミドルネームというと、刹那・F・セイエイとかか?」

「そう‼ その真ん中のF‼」

「勝手に付けてたらよろしいのですわ、二階堂・F・夏男」

「なんか語呂が悪いですね、二階堂・F・夏男」

「よしっ‼ Aから行くぜ‼ 二階堂・A・夏男…二階堂・B・夏男…二階堂・C・夏男…」

「そもそもFってなんなのだ?」

「なんかの略なんでしょうね、たぶん」

 チンッ‼

 レンジからフカヒレスープを取り出し、アガアガと食べだす冬華。

(猫舌のくせに熱い食べ物に挑むんだよな…)

「アレですわ‼ フカヒレのFですわ」

「二階堂・フカヒレ・夏男か…一気にフカヒレの価値が下がったな」

「下がるどころか大暴落ですよ」

「世界中のフカヒレに謝るべきですわ」

「オマエが言ったんだろうが‼」

 ビシャッ‼

 冷めたフカヒレスープの飲み残しが夏男の頭部にかけられる。

「ケプッ…もういらない」

 軽くゲップした冬華であった。

「冷めててもいい…冬ちゃんの飲み残しなら…コレはご褒美だ‼」

 なぜか笑顔の夏男を見て心の底から嫌悪した視線で春奈が呟いた。

「…気持ち悪い……」

 秋季が扇子をパチン…パチンと鳴らしながら

「私が神なら良かったのだが…生憎、私は神に仇名す者…やっぱり、洗礼名とか無理だから、夏男を表す言葉をハメ込んだらいいのではないか? そう…例えばH、HENTAIではどうか?」

「変出者ですわ」

「シンプルにバカでいいじゃないですか、バカのBで」

「冬香、麻婆豆腐が食べたいです…麻婆のM」

「二階堂・ドM・夏男か…それもよかろう」

「くぅぅうー、柔なハートが痺れてくるぜ‼ 冬ちゃんの山椒のような言葉攻め」

 夏男がハァハァしだした。

「夏男は、さておき…私なら生徒会長だから一ノ瀬・キング秋季」

「まぁ、なら副会長の私は三宮寺・クィーン・春奈?」

「そうなると…会計は、佐藤・ジャック・小太郎…書記は四宝堂・ジョーカー・冬華か?」

「で…俺は?」

「あっ…」

 小太郎(察し…)

「ふむ…二階堂……ツー…夏男…ツーは2のことだぞ、二階堂だけに」

「また…俺だけ…俺だけー‼」

「仕方ありませんわ、おまけの雑用係ですもの…2で十分ですわ」

 夏男の柔なハートが木っ端ミジンコ。


「冬香、麻婆豆腐が食べたいので早退します‼」

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