第17話 る~ずるーざー
「3回戦に行く前に、最下位決定戦を行います‼」
ヌルヌルの小太郎、すでに戦意は完全に削がれている。
「もう…僕が最下位でいいです」
「なるほど、この俺に恐れを為したか小太郎‼」
「はいはい…それでいいです」
「んなっ? 腹立つわ~、このヌルヌル小坊主腹立つわ~」
「そうですか…もうどうでもいいんで」
「がわぁぁぁあー‼ 勝負するの‼ 気持ちよく勝って生徒会に復活するの‼」
もはや駄々っ子である。
「佐藤君…ちょっと来なさい」
立花(保健)先生が小太郎を体育館の隅に呼んだ。
…………
立花(保健)先生が大きく手で〇を描いた。
対峙した夏男と小太郎。
「何の密談があったやら…立花先生の生脱ぎ…」
バンッ‼
春奈(夜叉姫)が放ったバスケットボールが夏男の後頭部に直撃する。
夏男の口から血が流れる、舌を噛んだのだ。
「では、最下位決定戦を始めます‼ 種目は神経衰弱‼ 頭脳戦よ‼」
立花(保健)先生の白衣からスケルトントランプが取り出される。
「ほう…ゾンビに塗れた社会でスケルトンとは洒落が効いている」
秋季が扇子をパチンッと鳴らす。
冬華の目が輝きだす。
「う~ん…う~ん」
スケルトントランプを欲しがり手足をバタバタさせる冬華を春奈が抑えつける。
「終わったら貰ってあげるから今は我慢なさい」
「会計‼ いやさ小太郎‼ 貴様には負けん‼ この勝負、もはや負けることなど在り得ん‼」
(なんだ、あのバカの自信)
「スケルトン…マインド」
スチャッと眼鏡をかける夏男、眉間にシワが寄る春奈。
「透視能力が最も有利に働くゲーム‼ それはカードゲームである‼」
「あぁ…それは至極ごもっともですね」
「貴様には1枚のペアも渡さん‼ 先行‼ オレ‼」
「すりゃっ‼ よっしゃー‼ ハートの3、縁起がいいぜ‼」
(なにが?)
「スケルトンマインド‼ フルフロンタル‼ フハハハ…カードが透けてるぜ」
「スケルトントランプですから…模様以外は透けてるんですよ最初から」
夏男の額に汗が流れる。
「バカな…見えん…とは…」
「アンタ…女性の服しか透視できないんでしょ」
ガバッと顔を上げた夏男、その顔面にバレーボールが直撃する。
もちろん春奈(夜叉姫)である。
「夏男は…バカなのだろうか?」
「バカなのですわ」
「アンタ…自分の能力を理解してないのか?」
圧勝した小太郎が軽蔑の視線を夏男に投げかける。
「うわぁあぁぁぁん」
床にうつぶせて泣く夏男の脇でスケルトントランプを貰って満足そうな冬華。
「意外でも何でもない結果になったな」
パシンッと扇子を広げた秋季の顔を覆う『NO-TEN P-KAN』
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