第15話 ばとるろわいある
「まぁ~」
春奈が思いがけない場所からの斜め上の提案に驚き両手で口を覆う。
「冬華、辞退します‼」
「認めません‼ 敵前逃亡は眉間をブチ抜きます‼」
「ゾンビも即死ですわね」
(やりたくねぇ生徒会長の座を争うって…罰ゲームかよ)
「夏男ごときに生徒会長の座を奪われるのはプライドが許さん、全力で死守してみせよう」
バンッと扇子を広げる秋季、開いた扇子に『ミラクルZENKAIパワー』の文字。
「下剋上じゃぁあーーー‼ ユァッショック‼」
復活の世紀末‼
「もう…事実上の決勝戦じゃないのか…」
小太郎がボソッと呟く。
辞退希望1名、不参加要望2名、残り2名である。
だが、その残り2名のやる気は、それを補って余りアリアリなのである。
「全員参加で、GOTO体育館よ‼ …全員参加でよ…」
生徒たちの拒否権は、はく奪された。
体育館ではバスケットボールやらバレーボールをダラダラと追いかけるゾンビがチラホラと…
(部活なんだろうな…)
「さぁ、チームを選びなさい‼」
立花先生が体育館の入り口で中を指さす。
「はい?」
「生徒会長は全生徒の代表です‼ 当然、団体競技で勝ち抜いてこそ真の生徒会長というものです‼」
「DEATH‼」
冬華が立花先生の横でビシッとコチラを指さす。
「…あなたもやるのよ…自主的転校生…」
「DEATH‼」
あみだくじで決めた1回戦『春奈(現副会長)VS夏男(元書記)』
ルーレットで決まった対戦種目は『ドッチボール』
「適当なゾンビメイトと7人制で競い合いなさい‼」
「先生‼ 能力は使ってもいいのでしょうか?」
夏男が手を挙げて質問する。
「もちろんOKよ‼」
「ふふふ…では遠慮なく…ふふふ…グフフ…」
夏男がスチャッと眼鏡を装着する。
「見えるぞ‼ 私にも敵が見える‼」
バンッ‼
夏男の顔面にドッヂボールがクリティカルヒットする。
「目がー‼」
夜叉姫降臨‼
次々とゾンビメイトの顔にボールをヒットさせる春奈。
血沸き肉躍るドッヂボールは、コートに腐った肉と淀んだ血をまき散らして早々の決着を付けた。
「ウィナー春奈‼」
「敗因は眼鏡か…」
秋季が扇子を広げて顔を覆う。扇子には『とびきりGENKAIパワー』の文字。
「まぁ、どうしましょう…勝ちあがってしまいましたわ」
夜叉姫モード終了で正気に戻った春奈が困った顔でコートを後にする。
「盛り上ってまいりましたー‼ 2回戦始めるわよー‼」
立花(保健)先生だけ楽しそうな放課後であった。
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