第13話 りたーんほ~む
「そういうわけで二階堂君も仲間にいれてあげなさい」
立花(保健)先生に手を引かれて生徒会室に世紀末が泣きながら入ってきた。
(とんだクソ野郎だな…)
「外した覚えはないのだが?」
「はずしたじゃないか…俺だけ…俺すら気づかないままに…書記を…書記を…」
ヒック…ヒックして下を向いたまま秋季を指さす世紀末。
(メンドくせぇ…本当に面倒くせぇ)
「どうしたら泣き止むのかしら?」
「二階堂君、どうして欲しいの?」
立花(保健)先生が世紀末に聞く。
立花(保健)先生に小声で囁く、そして頭を引っぱたかれた。
(何を要求したんだろう?)
「ふざけてるなら、先生、もう帰りますよ‼ ゾンビが校舎に増えてきて、餌付けで忙しいんですからね‼」
(それは自業自得というか…悪循環の結果というか…)
「デフレスパイラル‼」
冬華がシャキッと手を挙げて叫ぶ。
「ん?その子は?」
「転校生の四宝堂 冬華です‼ 生徒会やってます‼ 書記です‼」
相変わらずの無表情のまま冬華がハキハキと自己紹介をする。
「えっ、まさかの転校生って先生が紹介するものじゃないの? まさか紹介されるとは、しかも自己申告で…新しいわ、新世紀の到来だわ フィフスチルドレンだわ」
物事に動じない立花(保健)先生を一瞬とはいえ、たぢろがせるとは、やはり自主的転校をするだけあり、冬華…只者ではない。
「黒ジャージでも関西弁ではありませんけどね…」
「で? どうなんだよ‼ 俺を生徒会に戻すのか? 俺の要求を聞き入れるのか? えっ‼ どうなんだ‼」
とうとうキレだした世紀末。
(どうしてこうも情緒不安定なんだろう、この人は)
「戻せと言われてもな………役職は埋まっているわけだし……困ったな」
秋季が考え込む。
「普通に登校して午前中から授業を受けたらいいじゃありませんこと?」
「それじゃ、ゾンビと変わんねぇんだよ‼」
「いや…それが普通の学生というものなのよ、生徒会役員だから午前中の授業免除とかないのよ」
立花(保健)先生、呆れ顔である。
「では生徒会長の特権とはなんなのだ?」
「というか…生徒会ってなんなんでしょうか?」
「そもそもお金の概念が無くなった世界で会計の立ち位置ってあるんですかね?」
「冬華、特に書くことがありません‼」
「そんな何をやるのかわからない集団の長である私の存在とは?」
生徒会役員が全員、自らのポジションに疑問を抱いたまま、昼食の時間を迎え、皆が無言のまま微妙な空気が流れていきました。
「冬華、肉まん食べました‼」
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