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 次の日のニュースで。


 彼が死んだことを知った。


 ビルから転落したらしい。会社の不正を暴いたことが原因だと報じられていた。そして、彼は、英雄だなんだと、さんざん持ち上げられていた。


 勝手なものだと、思う。


 身元確認には、行けなかった。わたしは、彼の恋人ですらない。自分が、どれだけ微妙な距離感に甘んじていたのかを、今更、思い知った。わたしは、彼の、何でもなかった。恋人でなければ、友達でもない。


 3つめの結婚式は、休んだ。人の幸せを祝えるような、状態じゃなかった。


 毎日。死ぬことを考えながら、生きた。


 彼が死んで。彼のことを好きだったのだと、いやというほど、自覚していく。同時に、彼がいないという人生を、まったく、考えられなくなってしまった。すべてが投げやりで。何も、感じない。


 ついこの前まで、普通を押し付けられることに、抵抗感があったのに。あんな日々でさえ、普通の範疇はんちゅうにあったのだと、思う。


 もう。


 生きていくことが、できない。


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