第24話 キスとはつまり嫉妬を意味する

何やってんだ山城.....じゃない。

美玖の奴は.....!?

俺は愕然としながらリビングのソファに腰掛けていた。

そして柚が戻って来るのを待つ。


横では美玖が鼻歌を歌いながら変装道具を見ている。

ジュースを飲んで.....いる。

その唇が.....俺の唇に重なったのか。

駄目だ心臓がバクバクする。


『え、えへへ。戻って来るよ?騒いでいると』


「.....どうしたの?とーくん」


「美玖。お前は恥ずかしく無いのか。こんな事をして」


「.....あ、当たり前だけどめちゃくあ.....」


噛んだな。

俺はその光景に少しだけ心臓のバクバクが抑えられた。

それからクスクスと笑う。

本当に肝心な時に噛むもんなコイツ。

美玖は真っ赤になりながら、も。もう!、と言ってくる。


「.....でも本当に好きだから。と、とーくんの隣に立ちたいから」


「.....お前.....止めろ。その優しげな顔は。.....またキスしたくなる」


「ふぇ?.....へ!?.....いや!?」


「お前からキスをしておいてそれはない」


「.....そ、そうだけど。.....す、すけべ」


俺は苦笑いで美玖を見る。

美玖はポカポカと殴ってくる。

すると背後から相当な威圧が感じられた。

背後を見ると.....由紀がニヤニヤして腕を組んで立っている。

俺は驚愕しながら青ざめつつ由紀を見た。


「仲が良いですねぇ。アッハッハ」


「.....ちょ。ちょっと待て。落ち着け由紀」


「.....へ?.....由紀って!!!!?」


「.....あ。そうだな。俺は知り合いとか下の名前で呼ぶ事にしたんだよ」


「へぇ.....それはきっかけは美玖さんって事。アハハ.....良いねぇ」


由紀の目が死んでいる。

だ。誰か助けてクレメンス。

俺は考えながら、そ。そういやゲーム屋は何かあったのか、と話を振った。

すると由紀は、まあ手頃なものはあったけど。でもそれはそうと何で美玖さんがこの場所に?、と威圧してくる。

あ。駄目だった。


「ゆ、由紀さん。落ち着いて。私は.....」


「おお!美玖!?助けてくれるのか!?」


「.....わ、私は.....」


「.....美玖?」


ボフッと音がした。

そして目を回して床に倒れる美玖。

回線がショートした様な感じで、だ。

俺達は慌てて美玖に声を掛けるが。

美玖は目の中で渦巻を描きながらショートしていた。


「何をしたの?」


「.....な、何も無かった。うん」


「.....怪しいなぁ。そんな事ないよね。絶対に」


「な、何も無かったぞ。本当だ。俺は嘘を吐かない」


「.....ふーん.....ふーーーん.....?」


「.....」


誰か助けて下さい。

これはキツイな、と思いながら冷や汗をかく俺。

それから.....由紀を見る。

由紀は、まあ良いけど、と言いながら溜息を吐く。

俺は冷や汗を拭いながら、やれやれ、と思いつつ見ていた。


「でも何で山城さんが居るの?」


「美玖は一応俺に用事が有ったんだよ。それで上がってもらったんだ」


「そうなんだね。ふーん.....」


「.....」


苦しいなぁ.....。

と思っていると美玖がビニール袋に気が付いた。

それから、それは何ですか?、と由紀に聞く。

由紀は、え?あ。ゲームだよ、と誤魔化す。


「.....美玖。聞いてやるな。それはアカン」


「え?」


「.....そ、そうだね。うん」


「え、え?」


美玖はキョトンとする。

どうせ中身は変態ゲームだろ。

考えながら俺は由紀に、俺の部屋に行け、と耳打ちした。

行き場所も無いだろうしな。

美玖が名残惜しそうに見てきた。


「ゲームならやりたいと思ったけど.....」


「ただのゲームじゃない。ハイテンションなゲームだ」


「.....???」


美玖よ。

お前は純粋無垢で居てくれ。

あんなのに染まるなよ。

考えながら俺は、クッ、と拳を握り締めた。

それから美玖を見る。


「まあゲームならそこに有るしな」


「そうなんだ。ゲームしたいかも」


「そうだねぇ」


「うお!?柚!?いつの間に!」


俺は驚愕しながら柚を見る。

柚はニヤニヤしながら俺達を見ていた。

修羅場だったねお兄ちゃん、と言ってくる。

俺は、そ。そうですね、と苦笑い。


「でも何のゲームなんだろう」


「お前も口出しはするな。大丈夫だ」


「え?」


顔を見合わせる2人。

聞くな。

純粋無垢は大切だからな。

俺は思いながら苦笑いだけを浮かべる。

そして由紀に、頼むからバラすなよ、と念を押した。


「何だか分からないけど気になるなぁ。でもお兄ちゃんが言うなら仕方が無いか」


「.....や、やましい事は隠して無いよね?」


「無い。うん」


うーん、と悩む二人を見ながら。

俺はハァと息を吐いた。

それから.....全く。

と思いつつ考える。

由紀の変態ぐせって直した方が良いのか?、と。


「それはそうと2人とも顔が赤くない?」


「.....ヘ?い、いや。そんな事は無いぞ。柚。大丈夫だ」


「そ、そうだね。とーくん」


「.....アヤシイナ。山城さんに至ってはとーくんに呼び方が変わってるし」


「な、何も無いよ。うん」


まさかこの家でキスをしました。

等と言える筈もない。

その為に俺達は必死に隠した。

美玖とキスをした事を。

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学年一の美少女の秘密を知ってしまった。どの様に知ったかって?エロゲ買ってたんだが。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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