第9話 変態とはつまりドジであるとされる
この世界は美しい。
花の様で.....とても美しいのだ。
普通の人は柵(しがらみ)が無かったりして人生を謳歌出来るだろう。
だけど俺の様な奴には世界が暗く見えたりする。
柵(しがらみ)に囚われている。
花が枯れている様に見える。
普通の人になりたいもんだ。
思いながら俺はリビングで勉強をしていた。
5月にはテストがある。
体育祭もある。
だから頑張りたいと思っていた。
発作は突然やってくる。
それも本当に.....悲しいぐらいに、だ。
何故起こるのか分からない。
だけど.....発作のきっかけはある。
思い出したくはないが.....過去の例の件だ。
「.....ふう.....」
そんな嫌な記憶を打ち消すように勉強をしながら.....そして数学を半分ほど解く。
そうしていると柚がやって来て俺にココアを出した。
俺に笑みを浮かべてくる。
「お兄ちゃん。お疲れ様」
「.....ああ。有難うな。ってかお前は勉強しなくて良いのか?」
「私もするよ。でも家事をしないとね。先ずは」
「.....今日は母さんと父さんが遅いな」
ふふっ。そうだね。
と.....そんな感じで俺を見てくる柚。
俺も笑みを浮かべる。
今日は仕事が忙しいのだろうな。
思いつつ.....柚を見ていると柚が俺の手に手を重ねてきた。
「.....大丈夫?」
「.....少なくとも今は大丈夫だろ。.....取り敢えずはな」
「そう.....。何かあったら直ぐ言ってね。私はお兄ちゃんの傍に居るから」
「お前がそう言ってくれるから安心だ。有難うな」
ううん、だって私はお兄ちゃんの妹だもん。
と言いながら俺を見てくる。
俺は、だな、と柔和に見つめる。
そうしていると.....スマホに電話が掛かってきた。
俺はビックリしながら観ると。
「.....中島?」
「中島さん?」
「ああ」
俺は直ぐに電話に出る。
もしもし、と。
すると中島が、もしもし?、と話してきた。
どうしたんだ?と思いながら聞いていると中島が、君が勧めてくれたゲーム。面白いよ、と目を輝かせる様に電話してくる。
ああ.....成程な。
「そいつは良かったな」
『昔のゲームってこんなに面白かったんだね。最近のゲームしかしないから.....』
「.....最近のゲームも良いが昔のゲームのクオリティは凄いぞ」
『だよね。あ、そういえば電話したのね、実は.....』
そこまで言って中島は、よいしょ、と言いながら何かを取ろうとする。
その時だった。
ブチッと何かが取れる音がして。
あぁん♡、と声がした。
俺は、え?、と思いながら目をパチクリする。
『きゃー!!!!!イヤホンが取れたぁ!!!!!』
「.....おい。中島。お前今、何してんの?」
『(いい!いい!おち○ちんが良いのぉ!!!!!)』
「中島ァ!!!!!!!!!!」
うわあ.....。
やっぱりコイツ変態だった!!!!!
俺は愕然としながら電話を切ろうとする。
すると、切らないで!お願い!、と懇願する声がした。
馬鹿かコイツは!切らずにどうしろと!
『違うの!弟がやっているの!!!!!違うから!!!!!』
「良い訳も良いが切るぞ!縁も切りたいし!冗談じゃ無い!!!!!」
『私じゃ無いから!!!!!』
そんな慌てていると。
背後から、お兄ちゃん?、的な感じで心配げに声がした。
俺は青ざめる。
この声を聞かせるわけにはいかない!
中島!直ぐにイヤホンを嵌めろ!!!!!、と絶叫した。
「お兄ちゃん?!どうしたの!?」
「良いから!柚!あっち行ってろ!刺激が強い!」
「え!?」
柚は目を丸くする。
その様子を確認しながら中島に叫ぶ。
切るぞ!、と、だ。
すると慌てていた中島はイヤホンを嵌めた様でエッチな音声は途切れた。
俺は盛大に冷や汗を拭いながら溜息を吐く。
「.....中島。お前.....」
『私じゃなくて弟が.....』
「お前の部屋でそんなものをやる弟が何処に居るんだ!あったとしてもこの地球上でお前の一家だけだぞ!!!!!いい加減にしろ!」
『弟だもん!弟!!!!!』
まだ言うかコイツ。
と思いながらも話が進まないのでもう一度溜息を吐いてから。
目をパチクリしている柚を見ながら何の用事だったんだ、と切り出す。
すると中島は、あ.....えっと、としおしおになりながら声を発する。
それから、もう.....明日で良いや、と切り出した。
いや、おい。
「.....お前.....」
『やる気が無くなった.....ぐすん』
「いや泣くなよ.....これ絶対にお前が悪いだろ.....」
こうして。
途中からエロゲのエッチな音声を聞かされた俺は.....頭に手を添えながら。
明日を迎えるのでした.....。
改めて中島は変態だと分かった瞬間である。
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