第10話 電報ごっことはつまり恋の証

エロゲの事をすっかり忘れていた。

そういえば中島は変態だったな、という事も。

しかし今回の事件で本気ではっきりした。

マジに変態だな、って.....。

そんな事を思いながらの翌日の件だ。


「.....」


「.....」


登校してからの事。

教室にてその件もあってかお通夜みたいな雰囲気になっていた。

赤面する中島、そして顔を見れない俺。

困ったもんだな.....。


今日は家に誰も来なかったがこれのせいかな。

しかしあんな恥ずかしいゲームの音声でどう対応したら良いのか。

全く分からないんだが.....。

竜彦が俺と中島を交互に見ながら首を傾げた。

訳が分からない、的な感じだ。


「いやいや、何があったんだよ?」


「あまり言いたくないな」


「.....何だか怪しい気配」


「山城さん。そんな事無いから」


エロゲの音が漏れていました。

そんな事言えるか?普通。

言えないですよね。

どうしたら良いのだろうか。

思いながら.....中島を見る。


「.....何も言わないで」


「分かってる。俺も被害を被りたくはない」


「.....有難う」


そうしていると次のチャイムが鳴ってしまった。

俺達は解散しながら.....盛大に溜息を吐く。

ようやっと授業だ。

しかし何だってこんな目に遭っているのか。

俺は完全な被害者なんだが。


「いてっ」


授業が始まってから席に座ると。

横から俺の頭に何かが投擲されてきた。

俺は確認する。

どうやら紙の様だが。

誰が飛ばして来たんだ?


「.....」


「.....」


横を見ると山城だった。

山城は少しだけ赤面しながら紙を指差す。

俺は?を浮かべながらその紙を確認してみる。

そこにはこう書かれていた。


(何かあったの。気になる)


気になるってのは分かるが話せないんだよな.....。

俺は困惑しながらそのまま返事を書き記してから。

紙を山城に投擲する。

床に落ちたのを拾いながら読む。

内容はこう書き記した。


(多分心配していると思うけど喧嘩したって訳じゃ無い。ゲームの話をしていて気まずくなったんだ)


と、だ。

すると山城からまた投擲されてきた。

俺は目をパチクリしながらそれを教師にバレない様に受け取る。

そして内容を確認する。

そこにはこう書かれていた。


(ゲームしてるの。私もしたい)


「.....」


ゲームとはいえ.....まあエロゲの事は出さなくていいか。

思いつつ俺はありきたりなゲーム名を記載した。

そしてそれをやっている、と。


それから、バレるぞ教師の山下にこのままだと、と書く。

そうしてから投擲したが。

コソコソやっていたせいで俺と山城は現文の教科書で叩かれた。


「何をしているんだ?二人とも」


「.....いやー。教室電報ごっこですよ。アハハ」


「そうか。楽しかったようで何よりだ。じゃあ立っててな」


で、そのまま廊下に俺と山城は立たされた。

笑う教室を後にしてから俺は頭をガリガリ掻きながら山城を見る。

山城は、御免なさい、的な顔をする。

俺は、気にすんな、と苦笑した。

山城は、しゅん、とする。


「.....でもゲームしたい。私も。.....長谷川君と」


「そうか。んじゃ今度、家に来たらどうだ。俺の家」


「.....え?.....で、でも」


「山城が良いなら来たら良い。それも楽しいと思うしな」


それに女の子が家に来るって何だか幸せな感じだしな。

俺は少しだけ.....ほわほわと頭で思い浮かばせる。

下着姿の.....山城が浮かんだ。


俺は、うおぉ!!!!!、と思いながら頭をガリガリする。

何でこんな想像が!?

中島のせいか!?


「ど、どうしたの」


「.....何でもない。忘れてくれ」


「.....アハハ。長谷川君、面白い」


「.....そうか?そいつは結構だ」


そんな会話をして立っていると。

教室のドアが開いた。

そして竜彦がやって来る。

竜彦は、てへぺろ、的な顔をしているが.....何やってんだコイツ。

俺と山城はビックリする。


「寝てたらバレたわ」


「アホなのかお前は.....それで俺達が出て行っても声がしなかったのか」


「出て行った様だったしお前らと話したかったからな」


「いやいや.....お前までそれはないわ」


あは。アハハ、と楽しそうに笑う山城。

俺は苦笑い。

竜彦は、どうせ現文はつまらんしな、と笑みを浮かべて肩をすくめた。

そして立つ俺達。

っていうか、何を話してこうなったのよ?、と聞いてくる竜彦。


「まあ簡単に言えば.....電報ごっこしてたらこうなった」


「は?え?」


「.....紙で山城と意思疎通していたんだよ。そしたらバレた」


「そいつはまた。珍しいな.....山城さんが」


短時間だったけど楽しかった、と髪の毛を揺らしながら笑顔で答える山城。

俺達は顔を見合わせながら、そうか、と回答する。

そしてそのまま話すのを止めて立っていた。

あまり話すと山下にバレる可能性もあるしな。


「お前ら付き合っちゃえばいいのに。お似合いだぞ」


「.....ふえ?」


「.....いや、竜彦.....」


「因みに俺の場合は女子達に紳士的クズで嫌われているしな。アッハッハ。無理があるしな!」


いや.....自らを屑呼ばわりかよ。

俺は額に手を添えながら居ると。

また教室のドアが開いた。

そして山下がニッコリと顔を見せる。

で、教科書で叩かれた。


「煩いです」


「.....で、ですね」


俺達は顔を引き攣らせる。

山下はちょい甘い点は有るので立たされてもこういうのは緩い。

でも流石に煩かったか。


俺達は教室の笑い声を聞きながらそのまま反省した。

教室のドアがゆっくり山下の手で閉まる。

そして竜彦を見る。


「俺は付き合えないんだよ。.....幼馴染の件があるしな」


「.....まだ好いているのか?幼馴染」


「.....え?」


ハッとする竜彦。

山城が見開いて固まる。

俺は衝撃を受ける。

その事は内緒のつもりだったのに竜彦!この馬鹿!

す。すまん、と竜彦は青ざめて謝る。


「.....す、すまん。口が滑った.....!」


「.....いやいやお前な.....」


アホなのかコイツは。

うっかりでは済まされないぞ。

バレたらマズいと思ったのに.....。

山城が悲しげな顔をする。


そして.....俺を上目遣いで見てくる。

ほらみろこうなってしまうだろ。

竜彦のアホ.....。


「.....幼馴染?その.....好きなの?」


「え?.....い、いや.....」


「.....そうなんだ。だ、だから.....」


そのまま泣きそうな顔で駆け出して行った山城。

いきなりの事で止めたが間に合わなかった。

失恋したと思っているのだろう。


俺達は顔を見合わせながら複雑な顔をしてからそのまま俺は直ぐに追い掛けた。

竜彦に全てを任せた。

山下には後で説得しようと思いながら、だ。

こんな状態ではほったらかせない.....!

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